先日発表した「大学・研究機関の特許資産規模ランキング」に関して、「なぜ東京大学はランクインしていないのですか?」という質問を何件か頂きまし た。東京大学の結果は、昨年23位、本年27位となっています(大学・TLOに限定すると、昨年11位、本年15位)。決して悪いわけではありませんが、 もっと上位に入ってくるのではと想像される方が多かったようです。
今回のランキングでは、有効特許の「件数」と「注目度」を評価項目としています。「注目度」については、「出願 人の権利化への意欲」(早期審査請求、国際出願など)、「先行技術としての審査官からの認知度」(拒絶理由通知に引用された回数な ど)、「競合他者からの注目度」(無効審判、異議申立の有無など)の3点が主な評価項目となっています。東京大学はこのうち「出願人の権利 化への意欲」の項目で、他の上位機関に比べて得点が伸びませんでした。
一方で東大TLOは、保有特許全体に占める注目度の高い特許の割合が高くなっています。下図は、出願人別の特許力格付けレポート「パテント エクスプレス」を使って、東京大学と東大TLOのパテントスコア分布図を比較したものです。横軸はパテントスコア、縦軸が件数となっており、ピークの位置が右側 に偏るほど、注目度の高い特許を多く保有していると読み取ることができます。
これを見ると、東大に比べて東大TLOの方が、パテントスコアが高い特許(注目度が高い特許)の割合が高いことが分かります。同様のことは、他の大
学・TLO間でも見受けられました。これは、大学に比べて技術移転機関の方が権利化に向けた積極的な取り組みを行っていることの現れだと考えられます。
東
大TLOは、保有する特許の注目度は高いのですが、件数が少ないこと、また、権利失効までの残存年数が他の上位機関に比べて短いことなどから、「特許資産
の規模ランキング」では42位(昨年も同順)となり、上位にはランクインしませんでした。
因みに大学で最も順位が高かった慶応義塾のパテントスコア分布図は、左図のようになっています。これを見
るとピークの位置が高スコア側に偏っていることが分かります。同大学の関係者によると、「発明提案の段階から実用化を見据えた権利化活動を行っている」と
のことです。そうした活動が、パテントスコアによる評価結果にも反映されていると考えられます。
同大学が保有する特許のうちでパテントスコアの高
いものには、「有害な排気ガスを効率良く吸収するためのフィルター技術」や、東京電力と共同で出願した「流体の流動を精度よく測定する技術」に関するもの
などがあります。
パテントエクスプレスでは有効特許のほか、出願中特許のパテントスコア分布図や、スコアが高い特許上位10件の
リスト、過去10年間の出願動向などの情報を出願人ごとにまとめ、インターネット経由でレポートを提供しています。
※経営分析、競合調査、特許分析サービスに関する詳細は、
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