社団法人発明協会が主催する「平成22年度 全国発明表彰」が、6月18日に発表されました。デンソーなどによる「CO2ヒートポンプ式給湯システムの発明(特許第3227651号)」が「恩賜発明賞」を受賞したほか、内閣総理大臣発明賞、文部科学大臣発明賞など、合計24件が産業の振興に貢献する優れた発明として選ばれました(うち 3件は意匠権)。
下記の表は、発明表彰受賞特許についてパテントスコアを使って評価した結果です(2010年3月末時点の経過情報をもとに得点を算出)。恩賜発明賞を受賞したデンソーの特許のパテントスコアは「82.4」、レイティング「A」と、非常に高い評価結果となっています。その他の受賞特許についても概ね高評価となっており、専門家による評価と経過情報を用いたパテントスコアによる評価に相関が認められました。
【平成22年度 発明表彰受賞特許】
賞名 | 受賞特許 | 出願人 | パテント スコア |
Rating |
---|---|---|---|---|
CO2ヒートポンプ式給湯システム 特許第3227651号 | デンソー 他 | 82.4 | A | |
W-CDMAにおけるセル探索時間短縮技術 特許第3214860号 | 東北大学大学院 他 | 64.6 | B+ | |
コークス炉壁煉瓦補修用熱間計測・予測技術 特許第4262282号 | 新日本製鐵 | 80.2 | A | |
化学増幅型フォトレジスト用材料 特許第3297272号 | 富士通研究所 他 | 57.3 | B+ | |
同一金型内における成形・成膜技術 特許第3677033号 | ミツバ 他 | 74.1 | A- | |
磁気ディスク装置(HDD) 用信号処理技術 特許第3533315号 | 豊田工業大学 他 | 58.2 | B+ | |
会長発明賞 | 相転移原盤作製法を用いた光ディスクの製法 特許第3879726号 | ソニー | 67.4 | A- |
会頭発明賞 | 水なしCTP平版 第4186278号 | 東レ 他 | 55.5 | B+ |
塵除去装置搭載デジタル一眼レフカメラ 特許第4282226号 | オリンパスイメー ジング | 59.6 | B+ | |
ブロッキング構造によるTFT汚染防止技術 特許第3187086号 | 半導体エネルギー研究所 | 84.7 | A | |
GPS津波検知システム 特許第3803177号 | 日立造船 他 | 63.1 | B+ | |
花色の青化遺伝子及び花色変換された花卉 特許第3087246号 | サントリーホールディングス | 63.1 | B+ | |
新油性ボールペン 特許第4172978号 | 三菱鉛筆 | 57.2 | B+ | |
尿中有形成分分析用試薬 特許第3580615号 | シスメックス | 65.3 | A- | |
圧縮機フレームコンプライアント機構 特許第3661454号 | 三菱電機 | 58.0 | B+ | |
積層型回折光学素子 特許第3472154号 | キヤノン | 63.7 | B+ | |
視覚特性を用いた画像処理技術 特許第4126297号 | パナソニック | 70.5 | A- | |
熱型赤外線イメージセンサ 特許第2993557号 | NEC | 54.9 | B | |
自然で見やすい3Dディスプレイ 特許第3892808号 | 東芝 | 51.1 | B | |
有機修飾金属酸化物ナノ粒子 特許第4336856号 | 東北大学 | 74.6 | A- | |
高解像度及び高画質X線画像センサー 特許第4040201号 | 富士フイルム | 63.4 | B+ | |
パテントスコアは、主に特許出願後の経過情報をもとに、個別特許の注目度を得点化するシステムです。特許出願後に「出願人」「審査官」「競合他社」の3者が起こしたアクションから、個別の特許に対する注目度の高さを算出します。ここでは、恩賜発明賞を受賞したデンソーの特許「CO2ヒートポンプ式給湯システムの発明(特許第3227651号)」を取り上げ、経過情報から読み取れる注目度の高さについて調べてみます。
右図に、同特許の主な経過情報をまとめました。出願人の権利化への意欲の高さを表す「国際出願」「早期審査請求」などの項目にはアクションが見られませんが、「審査官引用回数:自社」が3回となっています。これは同特許によって拒絶された自社特許が3件あることを表しており、デンソーが周辺の技術を自社の特許で固めようとしたことの表れと捉えることができます。一方、他社特許の拒絶理由通知に引用された回数である「審査官引用回数:他社」は13回となっています。このことから、審査官からの先行技術としての認知度の高さとともに、競合他社への牽制力の高さがうかがえます。また、「閲覧回数」が6回、「異議審判 あり」と、競合他社からの注目度が高いことも分かります。
恩賜発明賞を受賞したデンソーの特許のパテントスコアが「82.4」と高得点であるのは、同じ年に出願された同一技術分野(IPC)の他の特許に比べて、相対的にアクションが多く起こされていたことが要因にあります。このような経過情報による分析は、専門家による評価とは視点が全く異なりますが、自社権利化への意欲や審査官からの認知度の高さ、他社牽制力の高さを知ることができ、膨大な特許群の中から重要度が高いと思われる特許を効率的にスクリーニングすることが可能になります。
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