株式会社パテント・リザルト 専務取締役 関野 勝弘
右表は、特許の主要三市場(日・米・欧)における、2007年の新規特許登録件数と、その申請企業の国籍を示している。
(特許庁:特許行政年次報告書2009年版・P28参照)
日本における特許登録件数(2007年・16万件強)は、世界の特許市場の主戦場とも言える米国市場の16万件弱を上回り、それは、欧州市場(5.9万件)の約3倍に上っている。しかも、米国市場の20%強、欧州市場の20%弱は、日系企業による特許登録であり、広義の日本関連特許の件数の占める割合は、主要3市場(37万件強)の半分に近い件数となっている。
日本の世界におけるGDPのシェアが10%を切る状況下では、このシェアは異常とも言えるもので、それには、日本特許市場・日本企業独特の要因が背景にあることは言うまでもない。されど、件数に見合う「質」が確保されているのであれば「ご同慶の至り」であるが、スコアリングという「質」の観点、また、各々の特許が活用されているのかどうかの観点からは、出願・研究開発のコストに見合う、本当に必要な特許かどうかを吟味することなく、「闇雲に出願している」という疑念をぬぐえない状況にある。
確かに日本企業は、いわゆるハイテク関連企業の活動が、他の地域に比べて相対的に高いものの、1)コスト意識の低さ、2)受動的な知財管理、3)「質より量」的なメンタリティ、4)クロスライセンス重視の文化、5)特許流通市場の非効率性、等々の複合的要因が、必ずしも「質」を伴わない日本企業の特異的な申請・登録件数の多さの背景にあるものと思われる。
また、特に米国市場との比較において、日本の特許市場の「流通市場の非効率性」、「企業体と大学・公的研究所との産学連携のお寒い状況」、また、IBM・サムソンといった先端的なインターナショナル企業と比べての知財戦略の遅れについても、折に触れて指摘されるところとなっている。
今般は、上記のような日本特許市場に内在する問題点のみならず、反対に前向きかつ先進的な取り組み、知財を切り口としたM&A・ファイナンス等についても、順を追って紹介・コメントしていきたい。
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