iPhoneに代表されるスマートフォンの普及で重要度が高まっているのがタッチパネル関連技術だ。
この分野は素材からアプリケーションまで多岐にわたり、多くの企業が複雑に牽制・競争しあいながら怒涛の勢いで発展している。
日本特許を戦場とした、特許力の競合状況を表したのが、以下の図である。
最も目をひくのは、台湾企業のFoxconnとChimei Innoluxが共に光る技術の軸でトップであることだ。
さらに、Foxconnは件数の割に総合力も高い。
FoxconnはAppleのiPhoneの組み立てなどのEMS事業で力を付けた企業である。
しかしこの分野に関しては、受託生産にとどまらず自社の技術開発も活発で、集中的かつ迅速に特許を権利化しようとする傾向があるために高パテントスコアとなっている。
また、この分野のFoxconnの特許の実に93%は中国の理系ナンバーワンの清華大学とタッグを組んでの共同出願であることも著しい。
もうひとつのChimei Innolux(奇美電子)はその発明者265人中62人が日本人であり、日本人技術者の人材そのものの採用を活発化させていることが分かる。
Chimei Innoluxの最も光る技術の特許も日本人によるものである。
では、これら台湾企業はいつごろから日本の特許の中でこのような存在感を持つに至ったのだろうか?
弊社のパテントスコアは「過去のあの時点の特許力はどうか?」を評価できる「過去スコア」を計算できることが特徴である。
過去スコアを使うと、以下の図のように、FoxconnやChimei Innoluxはわずかこの1~2年で一気に日本での特許権確保に集中してきたことが分かる。
2007年末 | 2009年末 | 2010年末 | ||
素材~セットメーカーまで、多種の日本企業がせめぎ合っていた。 この年、AppleのiPhone発売。 任天堂が光る技術を持っていたことが興味深い。 |
Appleが躍進。 Foxconnが中位以下に登場。 多くの素材・セットメーカーも健闘中。 |
Foxconnが一気に「光る技術」で先頭に。 Appleは総合力で2位に。 まだCHIMEIは現れていない。 |
日本の、特に素材メーカーなどは、長年の技術の蓄積で強い競争力を保ってきた。
しかし、大学との連携や高度人材の引き抜きなど、人的リソースの柔軟性の面で今後台湾企業に勝てる、あるいは防衛できるであろうか。
今後のタッチパネル分野の動向は、引き続き注視していく必要がありそうだ。
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