前回の分析事例で、パテントスコアは主に特許出願後の経過情報をもとに算出していることを説明しました。パテントスコアが高い特許は、注目度の高い特許であることを意味しており、出願人、競合他社、審査官のいずれかによって、なんらかのアクションが起 こされています。そこで、調査対象の特許について、どんなアクションが起こされたかを知りたい場合には、「パテントアトラス」を 使って調べることができます。
その調査事例として、平成21年度 全国発明表彰の「恩賜発明賞」を受賞した、東芝と東芝松下ディスプレイテクノロジーによる「液 晶テレビの高速応答オーバードライブ技術の発明」について見てみます。
経過情報の入手に必要なのは、特許番号だけですので、対象となる特許番号「3167351」をパテントアトラスの操作画面上で入力し ます。すると、出願日、審査請求日などの書誌情報のほかに、「早期審査請求の有無」「不服審判の有無」といった経過情報が、CSVファイル形式でダウン ロードできます。
図1はその主な項目をピックアップしたものです。これを見ると「3167351」特許は、早期審査請求や国際出願はされなかったものの、 1990年9月に国内優先権の主張がされており、出願人の権利化に対する意欲の高さがうかがえます。
また、審査官によるファーストアクションで拒絶された後に、登録に至っていることから、広範な権利化の取得に対する意欲が高いと解釈できます。さらに、被引用回数(他社)が8回あり、審査官による先行技術としての認知度が高いことが分かるほか、閲覧回数が7回となっており、競合他社からの 関心が高いことも確認できました。
そのほかのパテントスコアが高い特許についても調べると(図1)、同様にさまざまなアクションが起こされています。
こうした経過情報を見ることで、「パテントスコアの高い特許は注目度が高い」ということが再確認でき、これらの特許が発明表彰を受賞 したこともうなずけます。
パテントスコアの算出では、これらすべてのアクションを同等に扱っているわけではありません。パテントスコアは、「特許の維持率」と密接な関係があり、1つひとつのアクションに重み付けがされています。たとえば、「被引用回数(他社)」は、回数の増加に伴って特許の権利維持期間が長くなる傾向にありますが、「閲覧回数」は、 回数の多寡が権利維持期間に与える影響はほとんどないことが、弊社の研究で明らかになっています。
そのほか、特許明細書に記載されている請求項数、明細書の文書量などの書誌情報も組み合わせ、特許維持率との相関が高いパラメータに注目して重み付 けが施されています。いいかえれば、パテントスコアの高い特許は、「注目度が高い」というだけではなく、「権利維持期間が長い特許となる可能性が高い」とみなすことがで きるのです。
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