中小・ベンチャー企業の評価には定性的な要素が多く、より客観的に評価するためにも財務データ以外の定量的要素が必要とされています。ここでは企業を評価する数ある要素の中から無形資産に相当する技術力について、特許情報を用いた定量的評価方法を紹介します。評価対象として、独立行政法人中小企業基盤整備機構(中小機構)が主催する「Japan Venture Awards 2010(JVA2010)」に選ばれた14社を取り上げました。JVA2010は事業の新規性や革新性、経営者の意欲や経営方針といった多面的な要素により審査されていますが、特許情報を用いた評価により、JVA2010受賞企業の技術力について検証します。
はじめに、今回JVA2010を受賞した14社の特許出願状況を調べました(表1)。受賞企業はIT系、モノづくり系、研究系、サービス系と様々な業種に渡っていますが、ほとんどの企業が多かれ少なかれ特許を出願していることがわかります。JVA2010受賞企業は、業種に関わらず自社の技術・ビジネスモデルの強化・保護手段として、特許を積極的に取得しようという姿勢が伺えます。
次にこれらの企業の技術力について「パテントエクスプレス」を用いて調査しました。パテントエクスプレスとは、簡易的に企業の技術力を評価・格付けしたレポートを自動作成するウェブサービスです。ここでは比較的特許出願件数が多い株式会社悠心に着目します。図1はパテントエクスプレスで作成した株式会社悠心の「特許総合レイティング」です。株式会社悠心は「特許資産の規模」でB+、「特許の質」でA-、さらには「出願中特許の質」でB+と特に「特許の質」において高いレイティング結果となっています。
続いて、パテントエクスプレスから、「パテントスコア」が高い個別特許の件数について調べました。すると、登録特許では2件中2件がA-、出願中特許では9件中2件がA-、1件がB+と高レイティング特許の割合が高いことがわかります。
その他の受賞企業も含めたパテントエクスプレスにおける「特許総合レイティング」、及び「パテントスコア」が高い個別特許の件数を表2にまとめました。JVA2010受賞企業であってもパテントエクスプレスにおける「特許総合レイティング」が必ずしも高くはありませんが、個別特許の質である「パテントスコア」を見ると、特に技術系企業ではほとんどが高いレイティングの特許(B+以上)を持っていることがわかります。
中小・ベンチャー企業、特に技術系企業の成長要因として、その企業が持つ技術力の優位性は当然ながら必要不可欠な条件であります。パテントエクスプレスを用いて作成した表2の結果は、多くのJVA2010受賞企業が技術力の優位性を有していることを明らかにしており、またその優位性が受賞の一因になっているものと考えられます。
「パテントエクスプレス」は、大企業から中小・ベンチャー企業、大学・研究機関など、あらゆる出願人の技術競争量を一目で把握する簡易レポートです。専用サイトから企業名や大学名等を入力することで、5分程度でレポートが自動作成されます。24時間365日いつでもご利用いただけ、1レポート当たり3,150円とリーズナブルです。最大85%割引となるお得なポイントパックもご用意しています。<レポートサンプルはこちら(PDF)>
※経営分析、競合調査、特許分析サービスに関する詳細は、
「企業向け」「大学・研究機関向け」「金融機関向け」の各ページをご参照ください。
特許分析のパテント・リザルト TEL:03-5802-6580
特許分析・経営分析関連のつぶやき &
特許分析・経営分析関連のFacebook
Copyright c Patent Result Co., Ltd.