出光興産は6月7日、LG傘下の有機EL特許管理会社グローバル オーレッド テクノロジー社(Global OLED Technology LLC、:GOT社)に約3割出資すると発表しました。GOT社の特許を確保し、次世代ディスプレイや照明用途として注目を集める有機EL事業の開発を強化する狙いがあるようです。そこで、出光興産の有機EL事業における競争力を、特許情報から調べてみました。
まず、出光興産の注力分野を調べるため、同社が出願した全特許8,455件(※1)を、特許庁の技術分類であるテーマコードで分類しました。出願件数(円の大きさ)でみると、【4J002】「高分子組成物」が804件と最も多く、次いで【3K107】「エレクトロルミネッセンス光源」が541件、【4H104】「潤滑剤」が506件となっています。
一方で、特許の注目度を得点化するパテントスコアを用いた評価では、総合力(縦軸:技術分類スコア)と個別力(横軸:技術分類最高スコア)で、エレクトロルミネッセンス光源が他を大きく引き離しています。このことから、同社が有機EL分野に非常に注力していることが分かります。
次に、この分野において他社との競争力を比較分析するため、筆頭テーマコードに【3K107】「エレクトロルミネッセンス光源」が付与された全22,012件(※1)について、参入企業の競合状況を可視化しました。
これを見ると出光興産は、個別力(横軸:権利者最高スコア)で1位、総合力(縦軸:権利者スコア)で3位、出願件数(円の大きさ)で10位と、非常に高い競争力を持っていることが分かります。
このことから、同社が注力している有機EL分野は、参入企業との相対的な比較においても注目度の高い技術領域となっていることが確認できます。
さらに、LGグループと連携することで個別力とともに総合力も1位となり、競争力は一段と強化されると考えられます。
同社が有機EL分野に強みを持っている背景を探るため、LGグループ、ソニー、住友化学グループを例にとり、特許審査経過情報の比較分析をしました。下図のように、出光興産は「自社権利化意欲」「他社牽制力」の両面で、積極的な取り組みが見られます。自社権利化意欲の面では、特に国際出願の割合が非常に高く、早期審査請求、不服審判の割合も他と大きく差を付けていることが分かります。また、他社牽制力の面では、特に「審査官引用:他社」(※2)、閲覧、異議審判の割合の高さが目立ちます。
今回、出光興産がGOT社への出資を決めた背景には、こうした取り組みの中で、同分野における競争力をさらに強固なものにしようとする意気込みが感じられます。
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