レーザー加工装置に関する特許侵害を訴え、三菱電機がアマダを東京地裁に提訴したというニュースが報じられました。そこで、両社がこの技術分野においてどのような競合状況にあるか、特許情報を用いて検証してみました。
ここでは、特許庁の分類を用い、筆頭テーマコードに「4E068:レーザー加工」が付与されている特許公報8,715件(※1)について調査しました。
図表1はこの分野における出願件数の年推移です。「無効」は、すでに取り下げ、拒絶、失効となったもの、「有効」は現在も審査過程にあるか、登録特許となっているものを意味します。全体的に大きな増減はありませんが、99年にピークがあり、その後も年間500件前後の出願がされていることが分かります。
図表2は、出願件数ランキングです。アマダが483件で1位、三菱電機は341件で4位となっており、両社がこの分野の開発に積極的に取り組んでいることが分かります。
次に、パテントスコアを使い、特許の「注目度」の観点から評価しました。パテントスコアは主に特許出願後の経過情報をもとに、特許1件ごとの注目度を得点化する指標です。図表3のマップでは、注目度の高い特許を多く持っている企業ほど、マップの上側に表れます。また、1件でも注目度の高い特許を持っていれば、マップの右側に表れます。さらに円の大きさは、出願件数の多さを表しており、「総合力」「個別力」「出願件数」の3つの視点から評価しています。
これを見ると、総合力(縦軸)では三菱電機が2位であるのに対し、アマダは12位となっており、特許の注目度から見た総合評価では、三菱電機がアマダを上回っていることが伺えます。
出願件数がアマダよりも少ないものの、総合力で三菱電機がアマダを引き離している要因を追求するため、この分野における両社の経過情報を比較分析してみました(図表4)。
権利化への意欲の高さを表す「国際出願」「早期審査請求」「分割」「不服審判」などの項目において、三菱電機の方がアマダよりも割合が高いことが分かります。また、他社牽制力を表す「審査官引用:他社(※2)」「情報提供」「閲覧」などの項目においても、三菱電機の方が活発なアクションが起きていることが分かります。
さらに「審査官引用:他社」の内訳を調べてみると、三菱電機の特許公報が、アマダの出願を無効とするための拒絶理由通知に5回引用されているのに対し、アマダの特許公報は、三菱電機の出願を無効とするために引用された回数が2回となっています。この点においても、三菱電機がアマダを牽制していることが伺えます。
今回の訴訟がどうなるかは現時点で分かりませんが、自社の事業を守ろうとする三菱電機の取り組みが、経過情報を使った分析からも読み解くことができます。このように、単純な件数比較だけではなく、権利化への意欲や他者牽制力の高さも含めて評価することで、競合企業の分析をより精緻なものにすることができます。
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