注目を集めるあどえりあ
株式会社あどえりあが、博報堂DYMPとADKの出資を受け入れたニュースが流れ込んできた。
あどえりあは、位置情報を元にしたインターネット広告・コンテンツ配信特許のライセンスを管理する会社で、今年初頭にJ-CASTと電通によって設立されたばかりの会社だ。
すでに新聞社、広告会社など9社がライセンスを受けていると発表されている。
このあどえりあが取得している特許はたった1件のみである。
その1件の特許がなぜここまでの力を持つのか。
絶大な影響力
あどえりあの管理する日本国特許3254422号が出願されたのは1998年。
郵便番号が7桁化され、世間が2000年問題に怯えていた頃だ。
出願人はYahoo! ニュースでもおなじみのあのJ-CAST。
そして、この特許が登録されたのは3年後の2001年。
しかし、その登録は簡単ではなかったようだ。
特許庁に一度は拒絶されるも、「不服審判」という1年にわたる大変な手続きを経て、登録に至っている。
このJ-CASTの特許はその後、特許の世界で絶大な影響力を奮い始める。
2004年から2010年にかけて、電通、NECをはじめとした6社の特許登録を次々に阻止。
その後2009年には他者から「この特許はそもそも無効である」として無効審判を起こされるも、それも排除して生き残る。
結果的に今年、J-CASTと電通がこの特許を元に、あどえりあを設立。
さらに博報堂DYMPとADKも出資することになる。
現在この特許は、特許価値評価指標のパテントスコアでA+(89.3)の評価を持ち、業界トップ0.023%に入るほどの高評価特許となっている。
イノベーションの明暗
これと対照的なケースがある。
2005年に米破産法第11条(チャプター11)の適用を受けた、米国のXybernautだ。
Xybernautは1990年に設立された、ウェアラブルコンピューター、モバイル機器メーカーだ。
米国で数多くの特許を出願し、その一部の技術は日本にも出願されている。
特に、J-CASTと方式は違えど、モバイル機器の緯度経度を確定させる技術も、日本と米国の両方で特許として登録されている。
それらの特許のパテントスコアは日米共に非常に高く、知財化にも非常に熱心であったことが伺える。
しかし破綻後、それらの特許は担保として各方面の手を渡り歩き、「イノベーション」という言葉のもつ輝きは失われたままだ。
知財ドリブンのビジネス
あどえりあは、強力な特許を元手にしながら、「広告」というソフトな情報を扱うライセンスを管理する。
また、電通の特許を一度阻止した後、その電通と手を組むことで業界大手の後ろ盾も手に入れた。
日本は世界第一の特許大国であり、多くのメーカーは数千件~数万件の規模の特許を所有、大学の特許出願も増加の一途をたどっている。
しかし、「特許の棚卸」という言葉もあるほど、それら特許の活用は大きな課題となっている。
あどえりあの例は、良質なビジネスモデルと企業のネットワークが、1件の特許を最大限に活用する、知財ドリブンのビジネスの好例となっていると言えよう。
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