株式会社パテント・リザルト 専務取締役 関野 勝弘
これまで「特許」の価値の評価は不可能であると言われていた。理由は数多あり、(1)製品化まで時間がかかることが一般的、(2)また、その製品が将来収益的にどれだけ貢献度があるのかわからない。(3)一つの特許だけで製品化できることは稀で複数の特許・製造技術の結晶が製品である、等々が主たる理由であった。
確かに、金額的にこの特許は幾らの価値があると断言することは、よほど時間の経過を経ない限り、事実上不可能であるものの、「件数」だけでその企業や研究者を評価することは、無駄な特許出願の温床となり、逆に、「コスト」となって企業経営にネガティブな影響を与える可能性すらある。
このことは、「量」から「質」へのシフトとして、既に問題意識として認識されつつあり、様々な取り組みがされている。その中でも、1990年代半ばに主に米国で開発された「外部アクション」に注目した特許評価の為のスコアリングが浸透し始めている。
その内容としては、「良い特許」は、公表と同時に他社から無効審判請求されたり、他社に先んじて申請されている旨の「被引用」されたりする等、様々なアクションが生じる。また逆に、無用な特許にはこのようなアクションが全く生じないことから、特許公表後のアクションの多いものに「高得点」、少ないものに「低得点」を付する方法である。
下表は、2009年に日本の特許庁に登録された特許について、企業ごとにスコアの合計点を集計したランキングである。
【全業種 特許資産規模ランキング(2009年度)】
個別の技術の先進性や、その特許から潜在的に生まれるであろう商品の可能性・収益性等々を積み上げるような旧来の方法と異なり、この方法は、人によっては「粗削り過ぎる」と評価されるものの、特にある一定以上の数の特許群の分析については大数の法則が働き、かなり有用な指標となる。
2010年の経済産業省の研究会においても、財務指標の評点が同じであれば、上記のスコアリングで高い特許を持つ企業の倒産率が半分程度であることが発表されている。また、株式時価総額に比して、上記のスコアリングに基づく保有特許力が高い企業が、S&PやTOPIX等の株式インデックスに比べて年3~10%以上のパフォーマンスを実現させているとの研究発表もあり、上記のスコアリングの有用性は金融面でも注目されつつある。
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