弊社はこのほど、大学・TLOを対象とした他社牽制力ランキングをまとめました。これは、特許庁の審査官が拒絶査定を下した特許の「拒絶理由に引用された公報」について調査したもので、2011年12月末までに公開された公報を対象として、拒絶した他者特許の件数を集計しました。
拒絶理由通知は、新規性や進歩性などの特許要件が認められない場合に、審査官から出願人に対して通知されるものです。拒絶理由通知に引用されるということは、「審査官から先行技術として認知されている」ことを意味しています。
今回のランキングでは、このうち拒絶査定が下された公報に限定して集計しており、各機関の特許が産業界に与える影響度を知ることができます。また各機関は、拒絶査定が下された企業に対して、技術移転や共同研究などを模索できる可能性があります。
集計の結果、1位 早稲田大学、2位 東京工業大学、3位 東海大学となりました。
【大学・TLO 他社牽制力ランキング2011】
順位 | 機関名 | 他者特許 拒絶件数 |
---|---|---|
早稲田大学 | 199 | |
東京工業大学 | 178 | |
東海大学 | 171 | |
東大TLO | 144 | |
慶應義塾 | 135 | |
名古屋大学 | 118 | |
日本大学 | 116 | |
東北大学 | 105 | |
京都大学 | 104 | |
東京大学 | 96 | |
※1つのTLOで複数の大学の特許を管理していることがあるため、今回のランキングでは大学とTLOを分けて集計しています。
1位 早稲田大学は、磁気記録媒体、特定用途計算機、画像処理などの分野で引用されており、相手先企業には、NEC、富士通、パナソニックなどがあります。磁気ヘッドなどに使われる「軟磁性薄膜」に関する技術のほか、大容量のデータ処理や、複数アプリケーションの並列処理などに使われる「マルチプロセッサ」に関する技術などが、先行技術として引用されました。
2位・東京工業大学は、半導体や材料分野などにおいて、引用された実績があり、富士通、東芝、サムスン、中部電力などの出願に対する拒絶理由に引用されています。燃料電池に燃料ガスを供給するための装置に関する技術や、センサや顕微鏡用フローブなどに用いられる「薄膜構造体」に関する技術などがあります。
3位 東海大学は、教育支援システムや材料、特定用途計算機などの分野で引用された実績があります。そのほか、風力発電に関する技術について、荏原やシンフォニアテクノロジーの出願に対する拒絶理由に引用されました。
本ランキングに関する詳細は【大学TLO 特許ランキングデータ集2011】に収録されています。
【大学TLO 特許ランキングデータ集2011】
すべての大学・TLOについて、2011年12月末までに公開された情報をもとに、下記ランキングを集計しています。
<1>大学・TLO 特許出願件数 ランキング(日本に出願がある海外大学含む)
※件数ベースでの量の評価
<2>大学・TLO 特許総合力 ランキング(日本に出願がある海外大学含む)
※パテントスコアを用い、質と量の総合評価
<3>大学・TLO共同出願件数ランキング(日本に出願がある海外大学含む)
※企業など、他者との共同研究に対する取り組みの評価
<4>企業別 大学・TLOとの共同出願件数ランキング(日本に出願がある海外大学含む)
※大学・TLOとの共同研究に積極的な企業の評価
<5>大学・TLO 共同出願 特許総合力ランキング(日本に出願がある海外大学含む)
※大学・TLOの共同出願を質と量から総合評価
<6>大学・TLO 技術分野別共同出願状況マトリクス
※各機関がどの技術分野別において共同出願をしているかのマトリクスデータ
<7>大学・企業 共同出願状況マトリクス
※どの企業がどの大学と何件の共同出願をしているかのマトリクスデータ
<8>大学・TLO 他者特許牽制力ランキング(日本の大学・TLOが対象)
※機関別に 他者の特許の拒絶に引用された件数を集計。
産業界へのインパクトの強さを評価
<1>~<5>のデータは機関別にステータス(審査中、取下げ、権利継続、拒絶、失効など)、レイティング、共同出願件数、単独出願件数、パテントスコア関連指標などが掲載されています。サンプルはこちらをご確認ください。
【納品形態】
上記データを収録したエクセルファイルをメールで御納品。
データ一式を収録したCD-Rでの御納品をご希望の場合にはご相談ください。
【価格】
60,000円(税抜)
公開特許公報 :1993年1月〜2011年12月
特許公告公報 :1994年1月〜1996年3月
特許公報 :1996年5月〜2011年12月
再公表特許公報 :1996年1月〜2011年12月
公表特許公報 :1996年1月〜2011年12月
整理標準化データ:〜2011年12月
拒絶査定になった他者特許件数は電子化以前の公報を含む。