電通が2013年2月に発表したデータによると、2012年のインターネット広告市場の規模は、前年比7.7%の8,680億円に達し、景気回復とともに市場のさらなる拡大が期待されています。弊社では、2012年4月にオンライン広告全般に関する特許総合力ランキングを発表しましたが、めまぐるしく動く同分野において、このほど最新の競合状況を改めて調査いたしました。
1993年から2013年2月末までに日本の特許庁で公開された関連特許5,458件を対象に、個別特許スコアリング指標「パテントスコア」による評価を実施し、特許の質と量から総合的に見た「特許総合力ランキング(※1)」を集計しました。
その結果、総合力ランキング1位 はヤフー、2位はGoogleで前回と変わりませんが、3位 には楽天がランクインし、昨年の8位から大きく上昇しました(表1、図1)。
【オンライン広告関連技術 特許総合力トップ5】(表1)
今回 順位 |
前回 順位 |
企業名 | 総合力 |
有効特許件数 | 総出願件数 | 個別力 | |
---|---|---|---|---|---|---|---|
ヤフー | 964.9 | 201 | 204 | 82.2 | |||
米Google | 736.2 | 95 | 114 | 72.1 | |||
楽天 | 378.8 | 54 | 58 | 82.6 | |||
米Yahoo! | 283.1 | 33 | 52 | 64.9 | |||
NHN(※2) | 278.2 | 53 | 72 | 73.7 | |||
上位2社の順位は前回と変わりませんが、それぞれ着実に総合力を高めており、ネット業界をリードする2社の存在感は、特許総合力にも明確に表れています。ヤフーは、「携帯電話の位置情報を活用した広告の提供」に関する技術などが、Googleは、「ユーザーの嗜好に合わせた情報を提供するとともに広告を表示する技術」などが挙げられます。
前回調査時に比べて大きく上昇した楽天は、近年出願件数を大きく伸ばし、権利化に向けた積極的な取り組みが見受けられます。本分野において同社が審査請求したもののうち、既に審査結果が出ている29件については、拒絶査定を受けることなく、すべて登録に至っています。海外出願の割合も比較的高く、米国、欧州、中国など主要地域への出願も多いことから、世界市場を視野に入れた知財戦略を図っていることが分かります。パテントスコアで見る注目度の高い特許の1つには「ウェブ画面におけるスクロール操作の動きから、ユーザーの関心度合を判定し、的確な広告を提供する技術」があり、この特許は、日本において早期審査請求されているだけでなく、欧州、米国、中国のほか、カナダ、韓国、台湾などにも出願されており、同社が特に重要視している技術であることがうかがえます。
本分析の詳細については、特許・技術調査レポート「オンライン広告関連技術」にてご覧いただけます。
参入企業の技術力と成長性を取りまとめたレポートです。
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