弊社はこのほど、大学・研究機関を対象に、2013年の特許審査過程において他社特許への拒絶理由として引用された件数を機関別に集計した「大学・研究機関 他社牽制力ランキング2013」をまとめました(※)。この集計により、直近の技術開発において各社が権利化する上で、阻害要因となる先行技術を多数保有している先進的な機関が明らかになります。
集計の結果、2013年に最も引用された機関は、産業技術総合研究所の1,695件、次いで科学技術振興機構の1,067件、物質・材料研究機構の321件となりました。
【大学・研究機関 他社牽制力ランキング2013 上位10機関】
順位 | 企業名 | 引用された 特許数 |
---|---|---|
産業技術総合研究所 | 1,695 | |
科学技術振興機構 | 1,067 | |
物質・材料研究機構 | 321 | |
UNIVERSITY OF CALIFORNIA | 298 | |
理化学研究所 | 265 | |
東京工業大学 | 256 | |
情報通信研究機構 | 256 | |
東北大学 | 243 | |
鉄道総合技術研究所 | 240 | |
東京大学 | 230 | |
1位 産業技術総合研究所の最も引用された特許は、日鉄住金環境との共同出願による「核酸の測定方法(特願2000-120097)」で、後発の特許7件の審査過程で拒絶理由として引用されており、企業別には、東洋紡の6件、ROYAL PHILIPS(蘭)の1件となっています。
2013年に、産業技術総合研究所の特許によって影響を受けた件数が最も多い企業は東芝、次いで、パナソニック、コニカミノルタとなっています。
分野別には、太陽電池や触媒、材料分析などに関する技術が多く引用されています。
2位 科学技術振興機構の最も引用された特許は、東京工業大学の細野秀雄教授らの発明による「薄膜トランジスタ及びその製造方法(特願2006-510907)」で、後発の特許22件の審査過程で拒絶理由として引用されており、企業別には半導体エネルギー研究所の13件、出光興産の3件、凸版印刷の2件などとなっています。
2013年に、科学技術振興機構の特許によって影響を受けた件数が最も多い企業は半導体エネルギー研究所、次いで、住友電気工業、NEC、富士フイルムとなっています。
分野別には、材料分析や遺伝子関連、電子材料などに関する技術が多く引用されています。
3位 物質・材料研究機構の最も引用された特許は、「全固体リチウム電池(特願2007-524042)」で、トヨタ自動車や住友電気工業、SAMSUNG SDIなど11件の後発特許の審査過程で拒絶理由として引用されています。
2013年に、物質・材料研究機構の特許によって影響を受けた件数が最も多い企業は住友電気工業、次いで、シャープ、ROYAL PHILIPSとなっています。
分野別には、発光性組成物、医療用材料、炭素繊維などに関する技術が多く引用されています。
上位3機関は研究機関ですが、4位は米国のUNIVERSITY OF CALIFORNIA(カリフォルニア大学)となっており、日本の大学の被引用件数トップである東京工業大学を上回る結果となりました。最も引用された特許は、「半極性(Ga,Al,In,B)N薄膜、ヘテロ構造およびデバイスの成長と作製のための方法及び装置(特願2008-514810)」で、後発の特許12件の審査過程で拒絶理由として引用されています。企業別には住友電気工業が11件、ソラアインコーポレーテッドが1件となっています。
日本特許庁に特許出願され、2013年12月までに公開されたすべての公報のうち、2013年1月から12月末までの期間に拒絶理由(拒絶理由通知または拒絶査定)として引用された公報を抽出。
※本ランキングでは、権利移転を反映した集計を行っています。2014年3月末時点で権利を保有している企業の名義でランキングしているため、出願時と企業名が異なる可能性があります。
※業種は総務省の日本標準産業分類を参考に分類しています。
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