弊社はこのほど「大学・研究機関」を対象に、2023年の特許審査過程において他社特許への拒絶理由として引用された特許件数を企業別に集計した「大学・研究機関 他社牽制力ランキング2023」をまとめました。この集計により、直近の技術開発において競合他社が権利化する上で、阻害要因となる先行技術を多数保有している先進的な企業が明らかになります。
集計の結果、2023年に最も引用された企業は、産業技術総合研究所、次いで東京大学、東北大学となりました。
【大学・研究機関 他社牽制力ランキング2023 上位10社】
順位 | 企業名 | 引用された 特許数 |
---|---|---|
産業技術総合研究所 | 809 | |
東京大学 | 411 | |
東北大学 | 301 | |
大阪大学 | 274 | |
科学技術振興機構 | 274 | |
京都大学 | 257 | |
UNIVERSITY OF CALIFORNIA(米) | 246 | |
東京工業大学 | 201 | |
東海国立大学機構 | 200 | |
鉄道総合技術研究所 | 191 | |
1位 産業技術総合研究所の最も引用された特許は、お茶の水女子大学と奈良国立大学機構で共同保有する「センサ内蔵の靴のインソールで取得したデータを解析して、足部状態を包括的に評価する歩行・足部評価装置」に関する技術で、NECなどの計5件の審査過程で引用されています。このほかには「児童相談所などにおける情報処理方法及び装置」に関する技術が引用された件数の多い特許として挙げられ、AiCANなどの計4件の拒絶理由として引用されています。
2023年に、産業技術総合研究所の特許によって影響を受けた件数が最も多い企業はパナソニック(12件)、次いで東芝(11件)となっています。
2位 東京大学の最も引用された特許は、三協立山と共同保有の「換気を行いつつ断熱性能を向上できる二重窓」に関する技術で、三協立山自身における計13件の審査過程で引用されています。このほか「ニューラルネットワーク用の重み設定装置」に関する技術が引用された件数の多い特許として挙げられ、エンゼルグループの計7件の拒絶理由として引用されています。
2023年に、東京大学の特許によって影響を受けた件数が最も多い企業は三協立山(13件)、次いでNTT、トヨタ自動車(いずれも9件)です。
3位 東北大学の最も引用された特許は、リコーと共同出願の「中赤外領域の光を用いた、非侵襲的な血糖値測定装置」に関する技術で、リコー自身における計6件の審査過程において拒絶理由として引用されています。
2023年に、東北大学の特許によって影響を受けた件数が最も多い企業はリコー(10件)、次いでトヨタ自動車、パナソニック(いずれも8件)となっています。
そのほか、4位 大阪大学は「反射構造体の製造方法」、科学技術振興機構は「象牙細管封鎖材」が、最も引用された特許として挙げられます。
【ランキングの集計について】
日本特許庁に特許出願され、2023年12月までに公開された全特許のうち、2023年1月~12月末の期間に拒絶理由(拒絶理由通知または拒絶査定)として引用された特許を対象に、抽出・集計をしています。
また本ランキングでは、権利移転を反映した集計を行っています。2024年5月時点で権利を保有している企業の名義でランキングしているため、出願時と企業名が異なる可能性があります。
なお各企業の業種につきましては、総務省の日本標準産業分類等を参考に分類しています。
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