弊社はこのほど、独自に分類した化学業界の企業を対象に、2015年の特許審査過程において他社特許への拒絶理由として引用された件数を企業別に集計した「化学業界 他社牽制力ランキング2015」をまとめました。この集計により、直近の技術開発において競合他社が権利化する上で、阻害要因となる先行技術を多数保有している先進的な企業が明らかになります。
集計の結果、2015年に最も引用された企業は、富士フイルムの5,174件、次いで花王の1,741件、三菱化学の1,418件となりました。
【化学業界 他社牽制力ランキング2015 上位10社】
順位 | 企業名 | 引用された 特許数 |
---|---|---|
富士フイルム | 5,174 | |
花王 | 1,741 | |
三菱化学 | 1,418 | |
積水化学工業 | 1,361 | |
日東電工 | 1,177 | |
住友化学 | 1,168 | |
日立化成 | 992 | |
三井化学 | 924 | |
信越化学工業 | 882 | |
カネカ | 863 | |
1位富士フイルムの最も引用された特許は、昨年に引き続き「無機結晶性配向膜」に関する特許(特許第5215158号)で、後発の特許39件の審査過程で拒絶理由として引用されており、この39件はいずれも半導体エネルギー研究所の特許となっています。このほかには「撮像レンズ」に関する特許(特許第5601857号)や、「静電容量方式タッチパネル」(特許第5667938号)などが引用された件数の多い特許として挙げられます。
2015年に、富士フイルムの特許によって影響を受けた件数が最も多い企業はキヤノンの334件、次いでコニカミノルタの231件、セイコーエプソンの198件と続いています。
2位花王の最も引用された特許は、「染毛又は脱色キット」(特願2010-097950)で、後発の特許7件の審査過程で拒絶理由として引用されており、企業別にはマンダムの6件をはじめ、ホーユーの1件となっています。このほかには「染毛方法」(特願2010-184658)や、「食器用液体洗浄剤」に関する特許(特許第3642922号)などが引用された件数の多い特許として挙げられます。
2015年に、花王の特許によって影響を受けた件数が最も多い企業はP&Gの95件、次いでユニ・チャームの94件、大王製紙の50件となっています。
3位三菱化学の最も引用された特許は、「スタッカブル(積重ね可能)リチウムイオン電池からなるバッテリー装置」に関する特許(特願2000-179577)で、後発の特許10件の審査過程で拒絶理由として引用されており、企業別にはLG CHEM(韓)の9件、CYMBET(米)の1件となっています。このほかには「リチウム二次電池」に関する特許(特許第5636622号)や、「照明装置」(特許第5320993号)などが引用された件数の多い特許として挙げられます。
2015年に、三菱化学の特許によって影響を受けた件数が最も多い企業はLG CHEMの42件、次いでコニカミノルタ、大日本印刷の各36件と続いています。
日本特許庁に特許出願され、2015年12月までに公開されたすべての特許のうち、2015年1月から12月末までの期間に拒絶理由(拒絶理由通知または拒絶査定)として引用された特許を抽出。
※本ランキングでは、権利移転を反映した集計を行っています。2016年3月末時点で権利を保有している企業の名義でランキングしているため、出願時と企業名が異なる可能性があります。
※業種は総務省の日本標準産業分類を参考に分類しています。
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