弊社はこのほど、独自に分類した精密機器業界の企業を対象に、2015年の特許審査過程において他社特許への拒絶理由として引用された件数を企業別に集計した「精密機器業界 他社牽制力ランキング2015」をまとめました。この集計により、直近の技術開発において競合他社が権利化する上で、阻害要因となる先行技術を多数保有している先進的な企業が明らかになります。
集計の結果、2015年に最も引用された企業は、キヤノンの9,069件、次いでセイコーエプソンの5,528件、リコーの4,641件となりました。
【精密機器業界 他社牽制力ランキング2015 上位10社】
順位 | 企業名 | 引用された 特許数 |
---|---|---|
キヤノン | 9,069 | |
セイコーエプソン | 5,528 | |
リコー | 4,641 | |
コニカミノルタ | 4,193 | |
富士ゼロックス | 3,017 | |
オリンパス | 2,743 | |
大日本印刷 | 2,442 | |
ニコン | 1,963 | |
凸版印刷 | 1,598 | |
京セラドキュメントソリューションズ | 945 | |
1位キヤノンの最も引用された特許は、昨年に引き続き「電界効果型トランジスタ」(特許第4560502号)で、後発の特許32件の審査過程で拒絶理由として引用されており、この32件はいずれも半導体エネルギー研究所の特許となっています。このほかには「立体画像の生成」に関する特許(特願2002-8484)や「透明トナーを用いた画像形成」に関する特許(特許第5361263号)などが引用件数の多い特許として挙げられます。
2015年に、キヤノンの特許によって影響を受けた件数が最も多い企業はリコーの853件となっており、セイコーエプソンの491件、コニカミノルタの428件と続いています。
2位セイコーエプソンの最も引用された特許は、「入力機能付き有機EL」に関する特許(特願第5103944号)で、後発の特許6件の審査過程で拒絶理由として引用されており、企業別にはApple(米)、Samsung Display(韓)の各2件をはじめ、TPK Touch Solutions(台)、日立化成の各1件となっています。このほかには「光モジュール」(特願2003-38546)や「電子ブックや携帯情報機器」に関する特許(特許第4542637号)などが引用件数の多い特許として挙げられます。
2015年に引用されたセイコーエプソンの5,528件の特許を分野別にみると「プリンターヘッド」「有機EL」「液晶」などの技術が多くなっています。
3位リコーの最も引用された特許は、「耐環境安定性の優れた画像形成を行うことのできるトナー」に関する特許(特許第5418085号)で、後発の特許11件の審査過程で拒絶理由として引用されており、この11件はいずれも富士ゼロックスの特許となっています。このほかには「トナーの凝集を防止可能な収容容器」に関する特許(特願2011-16577)や「ユーザーの認証」に関する特許(特許第5440142号)などが引用件数の多い特許として挙げられます。
2015年に、リコーの特許によって影響を受けた件数が最も多い企業はキヤノンの463件となっており、富士ゼロックスの361件、コニカミノルタの330件と続いています。
日本特許庁に特許出願され、2015年12月までに公開されたすべての特許のうち、2015年1月から12月末までの期間に拒絶理由(拒絶理由通知または拒絶査定)として引用された特許を抽出。
※本ランキングでは、権利移転を反映した集計を行っています。2016年3月末時点で権利を保有している企業の名義でランキングしているため、出願時と企業名が異なる可能性があります。
※業種は総務省の日本標準産業分類を参考に分類しています。
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