弊社はこのほど、独自に分類した石油・エネルギー業界の企業を対象に、2016年の特許審査過程において他社特許への拒絶理由として引用された件数を企業別に集計した「石油・エネルギー業界 他社牽制力ランキング2016」をまとめました。この集計により、直近の技術開発において競合他社が権利化する上で、阻害要因となる先行技術を多数保有している先進的な企業が明らかになります。
集計の結果、2016年に最も引用された企業は、出光興産、次いで大阪ガス、JXTGエネルギーとなりました。
【石油・エネルギー業界 他社牽制力ランキング2016 上位10社】
順位 | 企業名 | 引用された 特許数 |
---|---|---|
出光興産 | 671 | |
大阪ガス | 641 | |
JXTGエネルギー | 461 | |
東京ガス | 417 | |
東京電力ホールディングス | 396 | |
中国電力 | 382 | |
関西電力 | 312 | |
中部電力 | 170 | |
ExxonMobil | 132 | |
東邦ガス | 100 | |
1位出光興産の最も引用された特許は、「電界効果型トランジスタ」に関する特許(特願2009-545426)および「薄膜トランジスタ」に関する特許(特願2009-513024)で、どちらも後発の特許14件の審査過程で拒絶理由として引用されています。どちらの特許も日本では拒絶査定に至っているものの、前者は米国や中国、韓国、台湾で、後者は米国および台湾で権利取得済みとなっています。
2016年に、出光興産の特許によって影響を受けた件数が最も多い企業は、半導体エネルギー研究所で158件と非常に多く、次いで、JXTGエネルギー(22件)、トヨタ自動車(18件)と続いています。
2位大阪ガスの最も引用された特許は、「電力供給システム」に関する特許(特願2001-166467)で、後発の特許5件の審査過程で拒絶理由として引用されています。企業別にみると、ソニー、NTTファシリティーズ、京セラなどの各1件となっています。
2016年に、大阪ガスの特許によって影響を受けた件数が最も多い企業はパナソニックIPマネジメント(37件)、次いで、東京ガス(28件)、京セラ(20件)と続いています。
3位JXTGエネルギーの最も引用された特許は、昨年に引き続き、筑波大学、春日電機との共同出願である「停電時における燃料電池の自立運転」に関する特許(特願2006-193249)で、後発の特許6件の審査過程で拒絶理由として引用されており、企業別には、東京ガスと正興電機製作所の共同出願および、京セラの各2件などとなっています。このほかには「光学フィルムの製造方法」に関する特許(特願2003-015401)や、「冷凍機油」に関する特許(特許第5597539号)などが引用件数の多い特許として挙げられます。
2016年に、JXTGエネルギーの特許によって影響を受けた件数が最も多い企業は出光興産(22件)、次いで、富士フイルムおよび住友化学(各10件)と続いています。
日本特許庁に特許出願され、2016年12月までに公開されたすべての特許のうち、2016年1月から12月末までの期間に拒絶理由(拒絶理由通知または拒絶査定)として引用された特許を抽出。
本ランキングでは、権利移転を反映した集計を行っています。2017年4月21日時点で権利を保有している企業の名義でランキングしているため、出願時と企業名が異なる可能性があります。
業種は総務省の日本標準産業分類を参考に分類しています。
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