株式会社パテント・リザルトはこのほど、独自に分類した窯業業界の企業を対象に、2017年の特許審査過程において他社特許への拒絶理由として引用された件数を企業別に集計した「窯業業界 他社牽制力ランキング2017」をまとめました。この集計により、直近の技術開発において競合他社が権利化する上で、阻害要因となる先行技術を多数保有している先進的な企業が明らかになります。
集計の結果、2017年に最も引用された企業は、旭硝子、次いで日本ガイシ、TOTOとなりました。
【窯業業界 他社牽制力ランキング2017 上位10社】
順位 | 企業名 | 引用された 特許数 |
---|---|---|
旭硝子 | 964 | |
日本ガイシ | 531 | |
TOTO | 493 | |
日本特殊陶業 | 485 | |
LIXIL | 414 | |
日本板硝子 | 297 | |
日本電気硝子 | 243 | |
CORNING | 232 | |
住友大阪セメント | 208 | |
太平洋セメント | 206 | |
1位旭硝子の最も引用された特許は、「作動媒体および熱サイクルシステム」(特許第5935798号)で、後発の特許16件の審査過程で拒絶理由として引用されており、企業別にはパナソニックIPマネジメントの9件、三菱電機の7件となっています。国際出願であるこの特許は、米国や中国、ロシアでも権利取得済みとなっており、欧州(※)およびドイツ(欧州と並行して出願)、ブラジルにも出願がみられます。
2017年に、旭硝子の特許によって影響を受けた件数が多い企業は、日本電気硝子や、CORNING(米)などのガラスメーカーを筆頭に、パナソニックや大日本印刷などが挙げられます。
(※)複数の国で効力をもつ欧州特許の出願先
2位日本ガイシの最も引用された特許は、「圧電音響発生装置」(特許第4295238号)および「複屈折ファイバー」に関する特許(特願2001-355727;取り下げにより特許権なし)で、いずれも後発の特許4件の審査過程で拒絶理由として引用されており、企業別にみると、前者は太陽誘電、村田製作所、キヤノン、帝人の各1件、後者は三菱電線工業の2件、フジクラ、中原光電子研究所の各1件となっています。
2017年に、日本ガイシの特許によって影響を受けた企業は、20件のCORNING(米)が最も多く、日本特殊陶業、京セラと続いています。
3位TOTOの引用された件数の最も多い特許には、「トイレユニット」(特許第6016070号)および「サイホン式水洗便器」(特許第3538894号;期間満了による失効のため特許権なし)が挙げられ、この2件の特許はともに、後発の特許4件の審査過程で拒絶理由として引用されており、企業別にはLIXILの3件、パナソニックIPマネジメントの1件となっています。
2017年に、TOTOの特許によって影響を受けた企業は、58件のLIXILが最も多く、パナソニック、三菱電機と続いています。
日本特許庁に特許出願され、2017年12月までに公開されたすべての特許のうち、2017年1月から12月末までの期間に拒絶理由(拒絶理由通知または拒絶査定)として引用された特許を抽出。
本ランキングでは、権利移転を反映した集計を行っています。2018年5月7日時点で権利を保有している企業の名義でランキングしているため、出願時と企業名が異なる可能性があります。
業種は総務省の日本標準産業分類を参考に分類しています。
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