株式会社パテント・リザルトはこのほど、繊維・紙・パルプ業界を対象に、2019年の特許審査過程において他社特許への拒絶理由として引用された特許件数を企業別に集計した「繊維・紙・パルプ業界 他社牽制力ランキング2019」をまとめました。この集計により、直近の技術開発において競合他社が権利化する上で、阻害要因となる先行技術を多数保有している先進的な企業が明らかになります。
集計の結果、2019年に最も引用された企業は、東レ、次いで帝人、東洋紡となりました。
【繊維・紙・パルプ業界 他社牽制力ランキング2019 上位10社】
順位 | 企業名 | 引用された 特許数 |
---|---|---|
東レ | 1,690 | |
帝人 | 577 | |
東洋紡 | 547 | |
クラレ | 502 | |
王子ホールディングス | 443 | |
ユニチカ | 307 | |
大王製紙 | 307 | |
三菱製紙 | 230 | |
3M | 190 | |
日本製紙 | 184 | |
1位 東レの最も引用された特許は「淡水製造装置の運転方法および淡水製造装置」に関する技術で、栗田工業の5件の審査過程で引用されています。このほかには「積層体の製造方法」に関する技術などが引用された件数の多い特許として挙げられます。
2019年に、東レの特許によって影響を受けた件数が最も多い企業は、三菱ケミカル(77件)、次いで大日本印刷(38件)、富士フィルム(33件)となっています。
2位 帝人の最も引用された特許は「二軸配向積層ポリエステルフィルムおよび磁気記録媒体」に関する技術で、ソニーの6件の審査過程において引用されています。このほかには「圧電素子」に関する特許や「熱硬化性樹脂組成物」に関する特許などが引用された件数の多い特許として挙げられます。
2019年に、帝人の特許によって影響を受けた件数が最も多い企業は、三菱ケミカル(31件)、次いで東レ(18件)、日東電工(13件)となっています。
3位 東洋紡の最も引用された特許は「ガラス/樹脂積層体の製造方法」に関する技術で、AGCの「ガラス積層体、および電子デバイスの製造方法」関連特許など、計4件の審査過程において拒絶理由として引用されています。
2019年に、東洋紡の特許によって影響を受けた件数が最も多い企業は、東レ(22件)で、三菱ケミカル(20件)、大日本印刷(18件)と続いています。
そのほか、4位 クラレは「特定の屈折率を有するシリカを含む合わせガラス用中間膜」、5位 王子ホールディングスは「圧縮トイレットペーパーロールの製造方法」が、最も引用された特許として挙げられます。
【ランキングの集計について】
日本特許庁に特許出願され、2019年12月までに公開されたすべての特許のうち、2019年1月から12月末までの期間に拒絶理由(拒絶理由通知または拒絶査定)として引用された特許を抽出。
本ランキングでは、権利移転を反映した集計を行っています。2020年5月29日時点で権利を保有している企業の名義でランキングしているため、出願時と企業名が異なる可能性があります。
業種は総務省の日本標準産業分類を参考に分類しています。
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