弊社はこのほど「化学業界」を対象に、2020年の特許審査過程において他社特許への拒絶理由として引用された特許件数を企業別に集計した「化学業界 他社牽制力ランキング2020」をまとめました。この集計により、直近の技術開発において競合他社が権利化する上で、阻害要因となる先行技術を多数保有している先進的な企業が明らかになります。
集計の結果、2020年に最も引用された企業は、富士フイルム、次いで三菱ケミカル、花王となりました。
【化学業界 他社牽制力ランキング2020 上位10社】
| 順位 | 企業名 | 引用された 特許数 |
|---|---|---|
| 富士フイルム | 4,287 | |
| 三菱ケミカル | 2,014 | |
| 花王 | 1,556 | |
| 積水化学工業 | 1,297 | |
| 日東電工 | 1,148 | |
| 旭化成 | 1,027 | |
| 住友化学 | 1,013 | |
| 昭和電工マテリアルズ | 940 | |
| DIC | 755 | |
| 信越化学工業 | 708 | |
1位 富士フイルムの最も引用された特許は「駆動耐久性及び発光特性が良好な発光素子」に関する技術で、半導体エネルギー研究所の「発光効率および寿命の良好な発光素子」など計15件の審査過程で引用されています。このほかには「配向性を有さない基板上に複合酸化物等の無機結晶性配向膜を成膜する方法」に関する技術が引用された件数の多い特許として挙げられ、半導体エネルギー研究所の11件とTHE BOEINGの1件、計12件の拒絶理由として引用されています。
2020年に、富士フイルムの特許によって影響を受けた件数が最も多い企業はキヤノン（325件）、次いでコニカミノルタ（179件）、大日本印刷（112件）となっています。
2位 三菱ケミカルの最も引用された特許は「光取り出し効率を改善したフリップチップ型のGaN系発光素子」に関する技術で、ディスコの15件の審査過程で引用されています。このほかには「ゴム成分と配合する事により、ゴムタイヤの燃費性能に関わる発熱性が良好なゴム組成物を実現し得るセルロース繊維」（ブリヂストンなどと共同出願）に関する技術が引用された件数の多い特許として挙げられ、花王の5件の拒絶理由として引用されています。
2020年に、三菱ケミカルの特許によって影響を受けた件数が最も多い企業は、住友化学（52件）、次いで日東電工（39件）、昭和電工マテリアルズ（35件）となっています。
3位 花王の最も引用された特許は「泡形状で広い面積に簡単に塗れ、べたつかずに潤いを与える皮膚化粧料組成物」に関する技術で、ポーラファルマの「スクリーンフォーマー用の外用組成物」など計5件の審査過程で拒絶理由として引用されています。
2020年に、花王の特許によって影響を受けた件数が最も多い企業は、PROCTER & GAMBLE（63件）、次いで王子ホールディングス（56件）、LOREAL（40件）となっています。
そのほか、4位 積水化学工業は「容易に塗布でき、硬化性、硬化物の透明性及びバリア性に優れる有機エレクトロルミネッセンス表示素子用封止剤」、5位 日東電工は「耐衝撃性、耐久性の良好な輝度向上フイルム」が、最も引用された特許として挙げられます。
日本特許庁に特許出願され、2020年12月までに公開されたすべての特許のうち、2020年1月から12月末までの期間に拒絶理由（拒絶理由通知または拒絶査定）として引用された特許を抽出。
本ランキングでは、権利移転を反映した集計を行っています。2021年5月1日時点で権利を保有している企業の名義でランキングしているため、出願時と企業名が異なる可能性があります。
業種は総務省の日本標準産業分類を参考に分類しています。
ランキングデータの販売
本ランキングの詳細データを、下記の通り販売しています。
化学業界 他社牽制力ランキング2020 ご提供データ
１）ランキングトップ50社
化学業界の被引用件数上位50社のランキング
２）被引用件数上位100件のリスト
化学業界の被引用件数上位100件および引用先の特許との対応を掲載
【価格】
50,000円（税抜）
【納品形態】
上記データを収録したエクセルファイルをメールで御納品。
データ一式を収録したCD-Rでの御納品をご希望の場合にはご相談ください。
その他、審査官引用分析に関する特定企業の調査依頼も別途承ります。