弊社はこのほど「医薬品業界」を対象に、2022年の特許審査過程において他社特許への拒絶理由として引用された特許件数を企業別に集計した「医薬品業界 他社牽制力ランキング2022」をまとめました。この集計により、直近の技術開発において競合他社が権利化する上で、阻害要因となる先行技術を多数保有している先進的な企業が明らかになります。
集計の結果、2022年に最も引用された企業は、MERCK、次いでNOVARTIS、F. HOFFMANN LA ROCHE(以下表記:ROCHE)となりました。
【医薬品業界 他社牽制力ランキング2022 上位10社】
順位 | 企業名 | 引用された 特許数 |
---|---|---|
MERCK(独・メルク) | 427 | |
NOVARTIS | 341 | |
F. HOFFMANN LA ROCHE | 333 | |
BAYER | 312 | |
PFIZER | 300 | |
GLAXOSMITHKLINE | 228 | |
武田薬品工業 | 200 | |
SANOFI | 195 | |
MERCK SHARP & DOHME(米・メルク) | 192 | |
BRISTOL-MYERS SQUIBB | 191 | |
※当ランキングでは、企業グループを考慮した名寄せを行っております。
※MERCKは医薬・化学企業ですが、同社発表の売上割合を基に医薬品業界に分類しています。
このため、当ランキングで対象とした同社特許には「化学」技術に関するものも含まれています。
1位 MERCKの最も引用された特許は「特定の位置の官能基を有する重合性自己配向添加剤」に関する技術で、DICなどの計6件の審査過程で引用されています。このほかには「腫瘍免疫や癌の治療のための、抗PD-L1抗体又はその抗原結合フラグメント」に関する特許などが引用された件数の多い特許として挙げられ、BIOCADなどの計5件の拒絶理由として引用されています。
2022年に、MERCKの特許によって影響を受けた件数が最も多い企業はDIC(23件)、次いで住友化学(17件)などとなっています。
2位 NOVARTISの最も引用された特許は「癌性または感染性状態および障害の処置、予防および/または診断に使用できる抗PD-1抗体分子」に関する技術で、XENCORやCRAGE MEDICALなどの計9件の審査過程で引用されています。このほか「ヒト化抗BCMAキメラ抗原受容体を使用した癌の処置」に関する技術が引用された件数の多い特許として挙げられ、FRED HUTCHINSON CANCER CENTERなどの計9件の拒絶理由として引用されています。
2022年に、NOVARTISの特許によって影響を受けた件数が最も多い企業は、BRISTOL-MYERS SQUIBB(13件)、次いでAMGEN(8件)となっています。
3位 ROCHEの最も引用された特許は「免疫療法剤として改善された特性を呈するミュータントIL-2ポリペプチド」に関する技術で、NOVARTISなど計5件の審査過程において引用されています。
2022年に、ROCHEの特許によって影響を受けた件数が最も多い企業は、日立ハイテク(10件)、次いで島津製作所(8件)となっています。
そのほか、4位 BAYERは「ランタン化合物を含む医薬組成物」、5位 PFIZERは「pH依存性の抗原結合を有する抗体」が、最も引用された特許として挙げられます。
【ランキングの集計について】
日本特許庁に特許出願され、2022年12月までに公開された全特許のうち、2022年1月~12月末の期間に拒絶理由(拒絶理由通知または拒絶査定)として引用された特許を対象に、抽出・集計をしています。
また本ランキングでは、権利移転を反映した集計を行っています。2023年5月時点で権利を保有している企業の名義でランキングしているため、出願時と企業名が異なる可能性があります。
なお各企業の業種につきましては、総務省の日本標準産業分類等を参考に分類しています。
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本ランキングの詳細データを、下記の通り販売しています。
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