弊社はこのほど「機械業界」を対象に、2023年の特許審査過程において他社特許への拒絶理由として引用された特許件数を企業別に集計した「機械業界 他社牽制力ランキング2023」をまとめました。この集計により、直近の技術開発において競合他社が権利化する上で、阻害要因となる先行技術を多数保有している先進的な企業が明らかになります。
集計の結果、2023年に最も引用された企業は、三菱重工業、次いでダイキン工業、豊田自動織機となりました。
【機械業界 他社牽制力ランキング2023 上位10社】
順位 | 企業名 | 引用された 特許数 |
---|---|---|
三菱重工業 | 1,492 | |
ダイキン工業 | 1,164 | |
豊田自動織機 | 847 | |
IHI | 692 | |
クボタ | 680 | |
日本精工 | 667 | |
NTN | 610 | |
日立建機 | 556 | |
ヤンマーパワーテクノロジー | 504 | |
コマツ | 474 | |
1位 三菱重工業の最も引用された特許は「車両部品の摩耗検査装置」に関する技術で、ブリヂストンやTOYO TIREなど計5件の審査過程で引用されています。このほかには「タイヤの摩耗寿命推定システム」に関する技術が引用された件数の多い特許として挙げられ、ブリヂストンやTOYO TIREなど計4件の拒絶理由として引用されています。
2023年に、三菱重工業の特許によって影響を受けた件数が最も多い企業は三菱電機(47件)、次いで東芝(38件)となっています。
2位 ダイキン工業の最も引用された特許は「冷却能力を広範囲にわたって調整可能な冷凍装置」に関する技術で、AIR LIQUIDE(仏)と日本エア・リキードが共同出願である計4件の審査過程で引用されています。このほか「空調制御装置」に関する技術が引用された件数の多い特許として挙げられ、東芝や富士通ゼネラルなど計3件の拒絶理由として引用されています。
2023年に、ダイキン工業の特許によって影響を受けた件数が最も多い企業は三菱電機(183件)、次いで富士通ゼネラル(70件)です。
3位 豊田自動織機の最も引用された特許は「冷却効果を高められる回転電機」に関する技術で、ニデックの計5件の審査過程において拒絶理由として引用されています。
2023年に、豊田自動織機の特許によって影響を受けた件数が最も多い企業はトヨタ自動車(39件)、次いでパナソニック(29件)となっています。
そのほか、4位 IHIは「ピッキング設備及び物流設備」、5位 クボタは「運転者が変速操作可能な緊急調整機能を持つ農機用の自動走行作業車」が、最も引用された特許として挙げられます。
【ランキングの集計について】
日本特許庁に特許出願され、2023年12月までに公開された全特許のうち、2023年1月~12月末の期間に拒絶理由(拒絶理由通知または拒絶査定)として引用された特許を対象に、抽出・集計をしています。
また本ランキングでは、権利移転を反映した集計を行っています。2024年5月時点で権利を保有している企業の名義でランキングしているため、出願時と企業名が異なる可能性があります。
なお各企業の業種につきましては、総務省の日本標準産業分類等を参考に分類しています。
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