弊社はこのほど「化学業界」を対象に、2024年の特許審査過程において他社特許への拒絶理由として引用された特許件数を企業別に集計した「化学業界 他社牽制力ランキング2024」をまとめました。この集計により、直近の技術開発において競合他社が権利化する上で、阻害要因となる先行技術を多数保有している先進的な企業が明らかになります。
集計の結果、2024年に最も引用された企業は、富士フイルム、次いで三菱ケミカル、花王となりました。
【化学業界 他社牽制力ランキング2024 上位10社】
順位 | 企業名 | 引用された 特許数 |
---|---|---|
富士フイルム | 3,110 | |
三菱ケミカル | 1,591 | |
花王 | 1,267 | |
レゾナック | 1,219 | |
積水化学工業 | 1,007 | |
日東電工 | 887 | |
旭化成 | 832 | |
住友化学 | 819 | |
信越化学工業 | 677 | |
カネカ | 596 | |
※当ランキングでは、企業グループを考慮した名寄せを行っております。
1位 富士フイルムの最も引用された特許は「配向性を有さない基板上に無機結晶性配向膜を成膜する方法」に関する技術で、半導体エネルギー研究所の計11件の審査過程で引用されています。このほかには「輝度ムラがなく面内の表示品位が優れる液晶表示装置」に関する技術が引用された件数の多い特許として挙げられ、住友化学の計9件の拒絶理由として引用されています。
2024年に、富士フイルムの特許によって影響を受けた件数が最も多い企業はキヤノン(207件)、次いで住友化学(107件)となっています。
2位 三菱ケミカルの最も引用された特許は、MITSUBISHI POLYESTER FILMと共同出願の「熱可塑性樹脂シート」に関する技術で、日東電工の計5件の審査過程で引用されています。このほか「生産物の廃棄ロスを削減する生産管理システム」に関する技術が引用された件数の多い特許として挙げられ、農業・食品産業技術総合研究機構などの計4件の拒絶理由として引用されています。
2024年に、三菱ケミカルの特許によって影響を受けた件数が最も多い企業は日東電工(52件)、次いで大日本印刷(36件)です。
3位 花王の最も引用された特許は「水中油型皮膚化粧料」に関する技術で、資生堂の計9件の審査過程において拒絶理由として引用されています。このほか「パンツ型吸収性物品」に関する技術が引用された件数の多い特許として挙げられ、王子ホールディングスなどの計6件の拒絶理由として引用されています。
2024年に、花王の特許によって影響を受けた件数が最も多い企業はユニ・チャーム、資生堂(いずれも53件)、次いで大王製紙(50件)となっています。
そのほか、4位 レゾナックは「ミリ波レーダー用プリント配線板」、5位 積水化学工業は「熱暴走防止シート」が、最も引用された特許として挙げられます。
【ランキングの集計について】
日本特許庁に特許出願され、2024年12月までに公開された全特許のうち、2024年1月~12月末の期間に拒絶理由(拒絶理由通知または拒絶査定)として引用された特許を対象に、抽出・集計をしています。
また本ランキングでは、権利移転を反映した集計を行っています。2025年5月時点で権利を保有している企業の名義でランキングしているため、出願時と企業名が異なる可能性があります。
なお各企業の業種につきましては、総務省の日本標準産業分類等を参考に分類しています。
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