弊社はこのほど、日本に出願された電子制御スロットル技術について、特許分析ツール「Biz Cruncher」を用いて参入企業に関する調査結果をまとめました。
電子制御スロットルは、アクセルワイヤとスロットルバルブをケーブルでつなぐのではなく、センサーでアクセル踏み込み量を検知し、ECU(エンジコントロールユニット)の命令に従いモーターでスロットルを開く技術で、ドライブ・バイ・ワイヤとも呼ばれれています。本調査では電子制御スロットル技術関連の特許を集計し、各個別特許の注目度を得点化する「パテントスコア」をベースとして、特許の質と量から総合的に見た評価を行いました。
その結果、「総合力ランキング(注1)」では、1位 日立オートモティブシステムズ、2位 デンソー、3位 本田技研工業となりました(表1、図1)。
【電子制御スロットル技術 特許総合力トップ5】(表1)
順位 | 企業 | 総合力 (権利者スコア) |
有効特許件数 | 個別力 (最高スコア) |
---|---|---|---|---|
日立オートモティブ システムズ | 508.3 | 56 | 92.0 | |
デンソー | 442.0 | 91 | 84.9 | |
本田技研工業 | 400.0 | 129 | 70.0 | |
トヨタ自動車 | 393.6 | 140 | 74.5 | |
ヤマハ発動機 | 346.5 | 28 | 71.0 | |
図1:電子制御スロットル技術 競合状況
1位トヨタ自動車の注目度が高い特許には、「スロットルバルブ回動のためのアクチュエーターの耐振性向上」に関するものがあります。
2位デンソーは「スロットルバルブ開度制御における制御定数設定手段」に関する技術、3位本田技研工業は「スロットル制御装置が故障した際の吸気量制御」に関する技術の注目度が高くなっています。
図2:電子制御スロットル技術 課題別の出願推移
総合力上位の企業がどのような課題を持って出願しているかを調べるために、代表的な課題を抽出し、さらに出願時期で分解しました(図2;円の大きさは出願件数に比例)。日立オートモティブシステムズ、本田技研工業、ヤマハ発動機は「小型」を課題とする出願が多くなっています。この結果から、「小型」を課題とする公報を確認すると、本田技研工業、ヤマハ発動機は2輪用途に関するものが多数含まれています。そのほか、トヨタ自動車の課題として、「トルク」、「レスポンス」が多く、特に近年では「トルク」の割合が増加しています。また、デンソーは「レスポンス」、「コスト」といった課題が多く、特に出願件数が多い期間は「コスト」の割合が高くなっていることが分かります。
本分析の詳細については、定型レポート「電子制御スロットル技術」にてご覧いただけます。
(注1):総合力の評価では、個別特許の注目度を得点化する「パテントスコア」を機関ごとに集計し、パテントスコアが50点以上のものを合算しています。50点以上のものだけを集計している理由は、パテントスコアが低くても特許件数が多いことによって総合力が上がってしまうことを防ぐためです。
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