【化学合成系生分解性プラスチック】特許総合力トップ3はユニチカ、東レ、三菱樹脂 ～ 直近6年間では東レ、帝人が躍進 ～

　成形性が高く軽量で低コストであるプラスチックは、使用時には大変有用であるものの、その化学的安定さのため使用後の廃棄が問題となっています。そこで弊社は、微生物等により使用後には二酸化炭素と水に分解することのできる「化学合成を用いて作製された生分解性プラスチック」に着目し、参入企業の競争力に関する調査を行いました。

　1993年から2012年12月末までに日本の特許庁で公開された関連特許7,635件を対象に、個別特許スコアリング指標「パテントスコア」による評価を、現在と2006年末の2つの時点で実施し、特許の質と量から総合的に見た「特許総合力ランキング（※）」を集計しました。

　その結果、1位 ユニチカ、2位 東レ、3位 三菱樹脂という結果となりました。また2006年から現在までの推移をみると、東レと帝人の2社が総合力を大きく伸ばしています。

　　　【化学合成系生分解性プラスチック関連技術　特許総合力トップ5】

図1：化学合成系生分解性プラスチック関連技術　競合状況

　1位ユニチカは、有効特許(権利維持されたもの、または今後権利化される可能性のあるもの)293件のうち215件が登録特許と全企業の中で最も多く、2006年から現在まで総合力トップを維持しています。同社の注目度の高い特許には、部分熱圧着が良好に行え、構成繊維同士の接着がほどけにくい「ポリ乳酸系長繊維不織布の製造方法」が挙げられます。

　2位東レは、2006年から現在までの推移でみると有効特許件数がやや減少したにも関わらず、総合力を大きく伸ばしています。同社の注目度の高い特許には、天然由来の有機充填剤を含有したポリ乳酸樹脂において、耐熱性および優れた色調をもつ「樹脂組成物の製造方法」などが挙げられます。

　3位三菱樹脂は、タッキングを可能とすると共に熱融着性と延伸安定性を有するポリ乳酸を主成分とする「生分解性２軸延伸フィルム」などが、4位帝人は、強度、耐熱性、耐熱収縮性に優れた「ポリ乳酸繊維およびその製造方法」などが、5位三井化学は、脂肪族ポリエステル樹脂、ポリオレフィン樹脂、および変性ポリオレフィン樹脂が混合されることを特徴とし、耐熱性、耐衝撃性に優れる「樹脂組成物」などが注目度の高い特許として挙げられます。

　6位以下では、花王、産業技術総合研究所、ソニー、東洋紡、三菱化学、武蔵野化学研究所等の企業が上位にランクインされています。

　国内特許をもとに海外のどの国へ優先権主張されているのかをみてみると、アメリカ合衆国が最も多くなっています。一方2006年以降に出願された特許をみると、WIPOへの優先権主張がアメリカ合衆国を上回り、また台湾、中華人民共和国への優先権主張も増加しています。(下図参照)

図2：化学合成系生分解性プラスチック関連技術 優先権主張状況

　本分析の詳細については、定型レポート「化学合成系生分解性プラスチック関連技術」にてご覧いただけます。

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