弊社はこのほど、大学・研究機関を対象とした他社牽制力ランキングをまとめました。これは、特許庁の審査官が拒絶査定を下した特許の拒絶理由通知に引用された公報について調査したもので、機関ごとに拒絶した他者特許の件数を集計しました。
拒絶理由通知は、ある特許が出願された際に、既に出願されている特許が存在するために新規性や進歩性などの特許要件が認められない場合に、審査官から出願人に対して通知されるものです。拒絶理由通知に引用されるということは、「審査官から先行技術として認知されている」ことを意味しています。
今回のランキングでは、このうち拒絶査定が下された公報に限定して集計しており、各機関の特許が産業界に与える影響度を知ることができます。また各機関は、拒絶査定が下された企業に対して、技術移転や共同研究などを模索できる可能性があります。
1位 産業技術総合研究所の最も引用された特許は、富士電機ホールディングスとの共願である「低濃度窒素酸化物などの除去」に関する技術で、同特許が引用例となり、TOTOや三菱マテリアルなどの特許14件が拒絶査定となりました。
また2位 科学技術振興機構は、「鉛フリー超高導電性プラスチック」に関する特許が最も引用され、三菱樹脂や日本圧着端子製造などなど18件の特許が拒絶査定となりました。
3位 NEDO(新エネルギー・産業技術総合開発機構)は、上位30位中で、被引用率(出願件数あたりの引用件数)が最も高い機関です。日立グローバルストレージテクノロジーズとの共同出願である「垂直磁気記録媒体」に関する技術が最も引用され、昭和電工、富士通、サムスン電子など10件の特許が拒絶査定となりました。
また大学では、東海大学、早稲田大学、東京工業大学が、他者特許の拒絶査定件数トップ20にランクインしています。
【 大学・研究機関 他社牽制力ランキング】 ※大学、TLOは別々に集計しています。
※他社牽制力:各ランキングに記載されている機関の特許が引用例となって、拒絶査定を受けた他者の特許件数
(共同出願公報については、共同出願の各企業それぞれにて集計を行っていますので、企業間の公報の重複があります)
※出願件数:2010年12月末までに公開された各機関の総出願件数(電子化以降)
※被引用件数:拒絶査定となった他者特許の拒絶理由通知に引用された、各機関の特許件数
※被引用率:被引用件数/出願件数
<表の見方>産業技術総合研究所の出願件数は1万6095件。このうち審査官から先行技術として認知され、他者特許の拒絶に引用されたのが2154件。1件の特許で複数の他者特許の拒絶理由通知に引用されたケースもあり、合計3151件の他者特許が拒絶査定となった。
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大学・研究機関において、他者特許の拒絶に引用された「被引用件数」が多い順に公報を集計。
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※ 調査対象公報 集計期間
公開特許公報 :1993年1月~2010年12月
特許公告公報 :1994年1月~1996年3月
特許公報 :1996年5月~2010年12月
再公表特許公報 :1996年1月~2010年12月
公表特許公報 :1996年1月~2010年12月
整理標準化データ:~2010年12月15日
(拒絶査定になった他者特許件数は電子化以前の公報を含む)
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