弊社はこのほど、独自に分類した食品業界の企業を対象に、2016年の特許審査過程において他社特許への拒絶理由として引用された件数を企業別に集計した「食品業界 他社牽制力ランキング2016」をまとめました。この集計により、直近の技術開発において競合他社が権利化する上で、阻害要因となる先行技術を多数保有している先進的な企業が明らかになります。
集計の結果、2016年に最も引用された企業は、味の素、次いでキリンホールディングス、明治ホールディングスとなりました。
【食品業界 他社牽制力ランキング2016 上位10社】
順位 | 企業名 | 引用された 特許数 |
---|---|---|
味の素 | 353 | |
キリンホールディングス | 243 | |
明治ホールディングス | 183 | |
日本たばこ産業 | 178 | |
アサヒグループホールディングス | 152 | |
サントリーホールディングス | 149 | |
不二製油グループ本社 | 147 | |
雪印メグミルク | 136 | |
日清製粉グループ本社 | 115 | |
日清オイリオグループ | 114 | |
を用いて計算しているため、昨年発表時と企業の定義が異なっております。
1位味の素の最も引用された特許は、「多層プリント配線板などに用いられる樹脂組成物」に関する特許(特許第5786327号)で、住友ベークライトの特許4件、太陽インキ製造の特許2件など合計10件の審査過程で拒絶理由として引用されています。このほかには「細菌を用いた代謝産物の製造」に関する特許(特許第5596902号)などが引用された件数の多い特許として挙げられます。
2016年に味の素の特許によって影響を受けた件数が最も多い企業は花王およびCJ CHEILJEDANG(韓)(各9件)、次いで日立化成およびキリンホールディングス(各8件)となっています。
2位キリンホールディングスの最も引用された特許は、キリンビール、松谷化学工業、三菱商事の3社による保有となっている「低カロリービール風味アルコール飲料」に関する特許(特許第4908390号)で、サッポロビールの2件、サントリーホールディングス、天野エンザイム各1件の計4件の審査過程において拒絶理由として引用されています。このほかには「アルコール感が付与された非アルコール飲料」に関する特許(特許第5591642号)や、「ヒトモノクローナル抗体」に関する特許(特許第5476517号)などが引用された件数の多い特許として挙げられます。
2016年にキリンホールディングスの特許によって影響を受けた件数が最も多い企業はサントリーホールディングス(13件)、次いでサッポロホールディングス(12件)、アサヒグループホールディングス(6件)となっています。
3位明治ホールディングスの引用された件数の最も多い特許は、「β-ラクタマーゼ阻害剤の医薬中間体」(特許第5903386号)で、Wockhardt(印)の5件の審査過程において拒絶理由として引用されています。国際出願である、この特許は、日本以外にも10か国以上に出願されており、中国や欧州(※)でも権利取得済みとなっています。
2016年に明治ホールディングスの特許によって影響を受けた件数が最も多い企業はWockhardt(印)(6件)で、雪印メグミルク、Nestec(スイス)(各5件)と続いています。
(※)欧州特許条約に加盟している複数の国で効力をもつ欧州特許の出願先である欧州特許庁
(注):企業グループ作成のため、名寄せの対象とした企業は下記の通りです。
「アサヒグループHD」:アサヒグループホールディングス、アサヒビール、
アサヒビールモルト、アサヒグループ食品、
アサヒフードアンドヘルスケア、アサヒ飲料、
カルピス、ニッカウイスキー、天野実業、日本エフディ、和光堂
「キッコーマン」:キッコーマン、キッコーマンバイオケミファ、キッコーマンソイフーズ、
日本デルモンテ、マンズワイン
「キリンHD」:キリンホールディングス、キリン、キリンエンジニアリング、
キリンテクノシステム、キリンビール、キリンビバレッジ、メルシャン、
協和発酵キリン、協和発酵バイオ
「サッポロHD」:サッポロビール、ポッカサッポロフード&ビバレッジ
「サントリーHD」:サントリーホールディングス、サントリー食品インターナショナル、
サントリーフラワーズ、サントリー酒類
「ニチレイ」:ニチレイ、ニチレイフーズ、ニチレイバイオサイエンス
「ハウス食品グループ本社」:ハウス食品グループ本社、ハウス食品、ハウスウェルネスフーズ
「MIZKAN HOLDINGS」:MIZKAN HOLDINGS、ミツカン、中埜酢店、MizkanSanmi-pro
「雪印メグミルク」:雪印メグミルク、雪印食品、雪印種苗
「日清製粉グループ本社」:日清製粉グループ本社、日清製粉、日清フーズ、日清ファルマ、
日清エンジニアリング、日清製粉プレミックス、
日清ペットフード、NBCメッシュテック、
オリエンタル酵母工業、マ・マーマカロニ
「日本たばこ産業」:日本たばこ産業、ジェイティエンジニアリング、富士フレーバー、
テーブルマーク、鳥居薬品
「不二製油グループ本社」:不二製油グループ本社、オーム乳業
「宝ホールディングス」:宝ホールディングス、宝酒造、タカラバイオ
「味の素」:味の素、味の素ゼネラルフーヅ、クノール食品
「明治HD」:明治、Meiji Seika ファルマ、明治飼糧、大蔵製薬
日本特許庁に特許出願され、2016年12月までに公開されたすべての特許のうち、2016年1月から12月末までの期間に拒絶理由(拒絶理由通知または拒絶査定)として引用された特許を抽出。
本ランキングでは、権利移転を反映した集計を行っています。2017年4月21日時点で権利を保有している企業の名義でランキングしているため、出願時と企業名が異なる可能性があります。
業種は総務省の日本標準産業分類を参考に分類しています。
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