投稿日:2013年02月13日
【車両燃焼機関用ガスケット】特許総合力トップ3はNOK、FEDERAL-MOGUL、日本メタルガスケット ~直近6年間ではFEDERAL-MOGULが大躍進~
#自動車・輸送機器
車両に利用されるガスケットは、エンジンの容器内の気密性を保つと同時に外部からオイルや冷却水等の侵入を防ぎ、エンジンの円滑なサイクルに役立っています。そこで弊社は、車両燃焼機関用のガスケット関連技術に着目し、参入企業の競争力に関する調査を行いました。
1993年から2012年12月末までに日本の特許庁で公開された関連特許1,909件を対象に、個別特許スコアリング指標「パテントスコア」による評価を、現在と2006年末の2つの時点で実施し、特許の質と量から総合的に見た「特許総合力ランキング」を集計しました。
その結果、1位 NOK、2位 米・FEDERAL-MOGUL、3位 日本メタルガスケットという結果となりました。また2006年から現在までの推移をみると、FEDERAL-MOGULが総合力を大きく伸ばしています。
【車両燃焼機関用ガスケット関連技術 特許総合力トップ5】
順位 | 企業名 | 総合力(pt) (権利者スコア) |
有効特許件数 | ||||
---|---|---|---|---|---|---|---|
現 在 | 2006年 | 現 在 | 2006年 | 現 在 | 2006年 | ||
NOK | 297.0 | 207.4 | 69 | 69 | |||
FEDERAL-MOGUL | 239.5 | 11.56 | 24 | 1 | |||
日本メタルガスケット | 219.4 | 219.5 | 36 | 59 | |||
トヨタ自動車 | 217.4 | 357.0 | 58 | 86 | |||
石川ガスケット | 167.4 | 605.7 | 55 | 81 | |||
車両燃焼機関用ガスケット関連技術 競合状況
1位NOKは、総出願件数が142件と全体では3番目であるものの、有効特許(権利維持されたもの、または今後権利化される可能性のあるもの)は69件と最も多く、2011年から2年連続で総合力トップとなっています。同社の注目度の高い特許には、テーパ状溝底部にバックアップリングを備え、ゴム状弾性のシールリングの損傷を防止し、かつ加圧に対して優れた偏心追随性をもつ「密封装置」などが挙げられます。
2位FEDERAL-MOGULは、2005年から出願件数が増加し始め、2006年から現在までの総合力の推移をみると、58位から2位と大幅に順位を上げています。同社の注目度の高い特許には、高圧力および高温度にも耐え、シリンダヘッドガスケット等に利用可能な「多層ガスケット」などが挙げられます。
3位日本メタルガスケットは、低コスト化と共に安定したシール性能を長期に渡って確保し、シリンダブロックとシリンダヘッドの間に好適な「金属ガスケット」などが、4位トヨタ自動車は、高効率燃焼による高筒内圧力に対してシリンダブロックとシリンダヘッドの間のシール性を確保する「シリンダヘッドガスケット」などが、5位石川ガスケットは、異物が介在してもガスケットと共に挟着してシール性の低下を抑止する「金属ガスケット」などが注目度の高い特許として挙げられます。
また6位以下では、オイレス工業、国産部品工業、日本ガスケット、日本ラインツ、日本リークレス工業、本田技研工業等の企業が上位にランクインされています。
上位5社のうち2006年からの現在までの伸びが最も大きいFEDERAL-MOGULについて、同社が日本で権利化を進めるにあたり、特許審査の過程でどのような企業と競合しているのか、拒絶理由通知の引用情報を用いて探りました。
図1 FEDERAL-MOGUL:拒絶理由通知を受けた際に引用された企業
図1はFEDERAL-MOGULの公報が拒絶理由通知を受けた際に、どの先行企業の公報が多く引用されているかを集計したものです(1件は多数のため一部省略)。引用された件数が最も多い企業は日本ラインツで、同社の5件が引用されてFEDERAL-MOGULの3件が拒絶理由通知を受けています。そのほかトヨタ自動車、三菱電機、日新製鋼、日本メタルガスケットなどもFEDERAL-MOGULの拒絶理由通知に引用されています。
上述の通り、日本ラインツなど先行企業がFEDERAL-MOGULの日本における権利化の阻害要因となっている一方で、これらの先行企業からみるとFEDERAL-MOGULは同様な技術の特許化(権利化)を企てる競合企業とみなすことができます。従って図1に挙げた先行企業は、直近で勢力を伸ばしているFEDERAL-MOGULの今後の動向に注意を払う必要あると考えられます。
最後に総合力上位企業以外も含めて、国内企業が海外のどの国へ優先権主張しているのかを見てみます。全期間を通してアメリカ合衆国への海外優先権主張が最も多くなっています。他の海外主張先をみると、2000年前半まではアメリカ合衆国に次いで欧州特許庁への優先権主張が多いものの、2000年後半は中華人民共和国、大韓民国、WIPO、ドイツへの優先権主張件数が欧州特許庁への主張件数を上回り、市場の変化に対する対応が見られます(図2参照)。
図2 車両燃焼機関用ガスケット分野 優先権主張国の状況
本分析の詳細については、定型レポート「車両燃焼機関用ガスケット関連技術」にてご覧いただけます。
(※)総合力の評価では、個別特許の注目度を得点化する「パテントスコア」を機関ごとに集計し、パテントスコアが50点以上のものを合算しています。50点以上のものだけを集計している理由は、パテントスコアが低くても特許件数が多いことによって総合力が上がってしまうことを防ぐためです。
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