弊社はこのほど『電磁鋼板』関連技術について、世界での特許総合力(※1)を示す「グローバルスコア(※2)」の企業ランキングを、特許分析ツール「Biz Cruncher」を用いて集計しました。
電磁鋼板は、電動モーターや変圧器などのエネルギー変換機器に欠かせない材料であり、高効率な電力利用を支えています。近年では脱炭素社会の実現に向けて、電気自動車や再生可能エネルギーといったエコ分野でも急速に需要が高まっています。本調査では、主要4ヵ国・地域(日本、米国、欧州、中国)における「パテントスコア」(個別特許の注目度を得点化)を企業ごとに合算し、世界における特許の質と量を総合的に見た評価を行いました。
集計の結果、「グローバルスコア 特許総合力ランキング」では、1位 日本製鉄、2位 JFEスチール、3位 POSCO(韓)となりました(表1、図1、図2)。
【電磁鋼板関連技術:グローバルスコア 特許総合力トップ5】(表1)
順位 | 企業名 | スコア 総合力 |
スコア 最高値 |
有効件数 | 公報件数 |
---|---|---|---|---|---|
日本製鉄 | 9,935.9 | 96.6 | 1,637 | 4,214 | |
JFEスチール | 9,312.4 | 95.8 | 1,577 | 3,915 | |
POSCO(韓) | 5,120.6 | 93.8 | 786 | 906 | |
BAOSHAN IRON&STEEL(中) | 2,392.8 | 92.7 | 389 | 491 | |
SHA-STEEL(中) | 623.9 | 101.9 | 67 | 71 |

図1:【電磁鋼板】関連技術 競合状況


図2:【電磁鋼板】関連技術 国別スコア内訳
1位 日本製鉄は、日本のみならず他3極のスコアも高水準で、海外展開を重視している事が窺えます。注目度の高い特許には、「曲げ部の構造を最適化した巻鉄心の製造方法」や「高強度でかつ、優れた延性、加工硬化性、絞り性を持つ熱浸漬亜鉛めっき冷延鋼板」が挙げられます。
2位 JFEスチールは、米国・欧州スコアが首位で、欧米市場を重視している可能性があります。特に、アルミニウムやけい素、マンガンなど特定元素の添加による特性改善については、日本製鉄を上回るスコアを示しています。注目度の高い特許には「優れた剥離抵抗性と外観を持つ高強度電気メッキ鋼板」や「低温靭性に優れた高強度厚板熱延鋼板」などが挙げられます。
3位 POSCOは中国スコアが高水準で、注目度の高い特許には「磁性特性に優れた配向電気鋼板」や「磁気特性と耐食性に優れた非方向性電磁鋼板」などがあります。
4位 BAOSHAN IRON & STEELは「高耐熱性を持つ磁区微細化型方向性ケイ素鋼の製造方法」、5位 SHA-STEELは「高ライセンスプレート無方向性珪素鋼の製造方法」などが注目度の高い特許として挙げられます。
6位以下にはSHAGANG GROUP(中)、THYSSENKRUPP(独)といった世界の大手鉄鋼企業が見られます。
本分析の詳細については、『電磁鋼板関連技術』グローバルスコア:ランキングデータにてご覧いただけます。
(※1)総合力の評価では、個別特許の注目度を得点化する、「パテントスコア」を企業ごとに集計し、パテントスコアが50点以上のものを合算しています。50点以上のものだけを集計している理由は、パテントスコアが低くても特許件数が多いことによって総合力が上がってしまうことを防ぐためです。
(※2)グローバルスコアは、日本、米国、欧州特許庁、中国の主要4国・地域の出願分についてパテントスコアを合算し、世界での技術競争力を評価したものです。
2025年8月28日までに発行された特許が対象。登録公報と、公開公報が重複している場合は、登録を優先しています。企業等は権利者ベースで集計しています。
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