弊社はこのほど、『全固体電池関連技術』について、世界での特許総合力(※1)を示す「グローバルスコア(※2)」の企業ランキングを、特許分析ツール「Biz Cruncher」を用いて集計しました。
全固体電池は、電解液の代わりに固体電解質を用いる次世代型バッテリーです。液漏れや発火のリスクが低く、安全性と高エネルギー密度を備えており、主に電動車(EV)や再生可能エネルギー向けの蓄電システム、医療機器など多岐にわたる分野での活用が期待されています。一方で、製造コストや界面抵抗といった課題を抱えており、量産化には技術革新が求められています。本調査では『全固体電池関連技術』全般について、日本、米国、欧州、中国の主要4国・地域における「パテントスコア」(個別特許の注目度を得点化)を合算し、世界における特許の質と量を総合的に見た評価を行いました。
集計の結果、「グローバルスコア 特許総合力ランキング」では、1位 トヨタ自動車、2位 パナソニックグループ、3位 富士フイルムとなりました(表1、図1、図2)。
【全固体電池関連技術:グローバルスコア 特許総合力トップ5】(表1)
順位 | 企業名 | 総合力 (権利者スコア) |
有効特許件数 | 個別力 (最高スコア) |
---|---|---|---|---|
トヨタ自動車 | 7,755.2 | 2,481 | 95.7 | |
パナソニックグループ | 6,495.8 | 1,676 | 93.4 | |
富士フイルム | 2,931.3 | 382 | 85.4 | |
出光興産 | 2,708.9 | 344 | 89.1 | |
村田製作所 | 2,461.6 | 450 | 85.1 |

図1:【全固体電池】関連技術 競合状況

図2:【全固体電池】関連技術 国別スコア内訳
1位 トヨタ自動車は日本と中国特許の寄与が大きくなっています。注目度の高い特許には、「イオン導電性の高い硫化物固体電解質材料を得るための製造方法」や「蛍光を含む硫化物系固体電解質を用いた、高性能な全固体リチウムイオン電池の電池部材」などが挙げられます。
2位 パナソニックグループは中国特許の寄与が大きくなっており、中国特許におけるランキングでも1位となっています。注目度の高い特許には、「高電圧正極活物質用の含ハロゲン固体電解質を用いた正極材料」や「高リチウムイオン伝導性を有する全固体二次電池用の固体電解質材料」などが挙げられます。
3位 富士フイルムは中国に次いで、日本特許の寄与が大きくなっています。注目度の高い特許は「低分子ゲル化剤を含有する固体電解質組成物を用いた全固体二次電池」や「無機固体電解質と特殊なポリマーを含む固体電解質組成物を用いた全固体二次電池」などがあります。
4位 出光興産は「機械的処理によって望ましい形態に容易に調整できる硫化物固体電解質の製造方法」などが、5位 村田製作所は「リチウムイオン誘導体を含む内部集電層を用いて高性能化が可能な積層型固体二次電池」などが注目度の高い特許として挙げられます。
6位以下には、三井金属鉱業、LG ENERGY SOLUTION(韓)などがランクインしています。
本分析の詳細については、『全固体電池関連技術』グローバルスコア:ランキングデータにてご覧いただけます。
(※1)総合力の評価では、個別特許の注目度を得点化する、「パテントスコア」を企業ごとに集計し、パテントスコアが50点以上のものを合算しています。50点以上のものだけを集計している理由は、パテントスコアが低くても特許件数が多いことによって総合力が上がってしまうことを防ぐためです。
(※2)グローバルスコアは、日本、米国、欧州特許庁、中国の主要4国・地域の出願分についてパテントスコアを合算し、世界での技術競争力を評価したものです。
2024年11月28日までに発行された特許が対象。登録公報と、公開公報が重複している場合は、登録を優先しています。企業等は権利者ベースで集計しています。
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