※2013年5月13日付 日本経済新聞 朝刊 11面に掲載されました
弊社はこのほど、国内に出願された家庭用エネルギー管理システム(HEMS;Home Energy Management System)関連技術について、特許分析ツール「Biz Cruncher」を用いて参入企業に関する調査結果をまとめました。
近年、自然エネルギーによって発電した電力の発電量と蓄電量を監視しつつ、家電などの消費電力量を制御する技術が注目を集めています。2012年4月からは、経済産業省による家庭用エネルギー管理システム及びビル向けのエネルギーマネジメントシステムの補助金制度(注1)も実施されています。そこで本調査では、主に家庭用エネルギー管理システム関連技術(注2)の特許を抽出し、各個別特許の注目度を得点化する「パテントスコア」をベースとして、特許の質と量から総合的に見たランキングを作成しました。
その結果、「総合力ランキング(注3)」では、1位 パナソニック、2位 東芝、3位 中国電力という結果となりました(表1、図1)。
【家庭用エネルギー管理システム関連技術 特許総合力トップ5】(表1)
順位 | 権利者 | 権利者スコア | パテントスコア 最高値 |
有効特許件数 |
---|---|---|---|---|
パナソニック | 365.0 | 71.0 | 142 | |
東芝 | 327.7 | 73.8 | 92 | |
中国電力 | 262.8 | 74.9 | 60 | |
QUALCOMM | 260.9 | 68.3 | 26 | |
シャープ | 259.9 | 72.6 | 49 | |
図1:家庭用エネルギー管理システム関連技術 競合状況
1位パナソニックの注目度の高い特許には、「(時間帯別電気料金情報に基づいて複数の電気機器の予約運転を行う)制御システムおよびその制御方法、プログラム」や「配電システム」、「非接触電力伝送回路」が挙げられます。
2位東芝は、「(非接触型の充電器により充電される)電子機器、および(充電器および電子機器を収納する)収納ケース」や「予備力計算装置およびその方法、コンピュータプログラム」で注目度の高い特許を有しています。
3位中国電力の注目度の高い特許には、「電力系統における電力調整方法、及び電力調整装置」や「非接触給電システム、給電装置、及び非接触給電システムの制御方法」が挙げられます。
図2:家庭用エネルギー管理システム関連技術 各国への出願年推移
本調査対象の2000年以降における出願件数とパテントファミリーの推移を図2に示します。分野全体の出願件数が増え始めた2009年以降、国別ではアメリカ合衆国、中華人民共和国にパテントファミリーを有する特許出願が急増しています。また、WIPO(PCT出願)、EPO(EPC出願)も併せて増加しており、今後各国へ移行される件数は増加していくと予想されます。
図3:上位企業 家庭用エネルギー管理システム関連技術 各国への出願状況
図3は、本調査の特許総合力上位5社について、出願年別に見たパテントファミリーの内訳を示したものです。パナソニックは、「電力融通システム」や「蓄電池の充電制御方法」関連技術について、2009年以降にWIPO(PCT出願)を軸とした特許出願が急増しています。東芝は、「グリーン電力需要管理装置」や「家庭用エネルギー管理システム」関連技術について、2009年から米国を中心としたパリルートによる出願件数を伸ばしています。中国電力は、「電力需要計画調整装置、電力需要計画調整方法、及びプログラム」関連技術について、2010年からPCT出願を行っています。シャープは、「太陽光発電システム」や「蓄電設備管理システム」関連技術について、2002年以降にPCT出願とパリルートを使い分けながら、継続的な特許出願を行っています。 ここで図2と比較すると、図3の5社は、アメリカ合衆国、WIPO(PCT出願)、EPO(EPC出願)への特許出願が占める割合は高い一方、中華人民共和国にパテントファミリーを有する特許出願は相対的に高くないことがわかります。アメリカ合衆国への特許出願は主要大手メーカーが牽引しつつも、中華人民共和国への特許出願は数多くのプレーヤーが参入を始めていると考えられます。
本分析の詳細については、定型レポート「家庭用エネルギー管理システム関連技術」にてご覧いただけます。
(注1)http://www.meti.go.jp/press/2012/04/20120410001/20120410001.html
(注2)家庭内における「太陽光発電システム」や「電力蓄積システム」関連技術などをフォーカスしていますが、電力を管理するスマートメータ、家庭に電力を供給するための電力網(スマートグリッド)関連技術も含みます。なお本調査では、ハイブリッド/電気自動車への充電・電力供給システムと家庭用エネルギー管理システムとの連携技術は除外しています。
(注3)総合力の評価では、個別特許の注目度を得点化する「パテントスコア」を企業ごとに集計し、そのうち分析母集団における平均点以上のパテントスコアの値を集計しています。平均点以上のものだけを集計している理由は、パテントスコアが低くても件数が多いことによって総合力が上がってしまうことを防ぐためです。
定型レポート、ランキングデータの販売
定型レポート 『家庭用エネルギー管理システム関連技術』
参入企業の技術力と成長性を取りまとめたレポートです。
内容 | 価格(税抜) | 納期 | ||
---|---|---|---|---|
定型レポート | 10万円 | 5営業日 | ||
個別企業分析(※) (追加オプション) |
1~3社まで (社数に関わらず同一価格) |
+20万円 | +5営業日 | |
4社目以降、 1社あたり |
+7万円 | +1営業日 |
(注)レポートは弊社データベースにおける最新の収録範囲に基づき作成いたします。
そのため、ご注文のタイミングによっては上記ランキングと順位、値が異なる可能性があります。
【納品形態】
レポートのPDF、公報リストを収録したエクセルファイルをメールで御納品。
レポート冊子やデータ一式を収録したCD-Rでの御納品をご希望の場合にはご相談ください。
レポートについてはこちらのページをご覧ください。
特許総合力ランキングデータ 『家庭用エネルギー管理システム関連技術』
パテントスコアを用いた総合力評価や出願件数などに基づく各種ランキングデータのご提供です。
【収録データ】
・特許総合力ランキング 上位30社リスト
・有効特許件数ランキング 上位30社リスト
・開発規模(出願件数)ランキング 上位30社リスト
・競合状況分析マップ (権利者スコアマップ)
・母集団の公報リスト
【納品形態】
上記データを収録したエクセルファイルをメールで御納品。
データ一式を収録したCD-Rでの御納品をご希望の場合にはご相談ください。
【価格】
50,000円(税抜)