投稿日:2017年04月19日
【リチウムイオン二次電池 セパレーター】特許総合力トップ3は東レ、LG CHEM(韓)、住友化学
#化学製品・材料 , #自動車・輸送機器 , #電子部品・電子機器・電子材料
弊社はこのほど、2017年2月末までに日本の特許庁に出願された「リチウムイオン二次電池用セパレーター」関連技術について、特許分析ツール「Biz Cruncher」を用い、参入企業に関する調査結果をまとめ、レポートの販売を開始しました。
本レポートは、2010年9月15日にリリースした内容に、新たに出願・公開されたデータを加え再調査した結果となります。
その結果、「総合力ランキング(※1)」では、1位東レ(※2)、2位LG CHEM、3位住友化学となりました。
【リチウムイオン二次電池セパレーター 特許総合力トップ5】(表1)
順位 | 2010年順位 | 企業名 | 総合力 (権利者スコア) |
有効特許件数 | 個別力 (最高スコア) |
---|---|---|---|---|---|
東レ | 1916.2 | 241 | 85.5 | ||
住友化学 | 1542.6 | 122 | 82.1 | ||
LG CHEM | 1423.6 | 138 | 85.5 | ||
旭化成 | 1267.3 | 177 | 80.2 | ||
帝人 | 1109.8 | 93 | 75.5 |
図1:リチウムイオン二次電池セパレーター 競合状況1
総合力1位の東レは、特に東レバッテリーセパレーターフィルム(以下東レBSF)名義の有効特許のうち、4分の1近くが総合力3位であるLG CHEMとの共同保有となっています。これらの特許はLG CHEMが単独で出願し、2015年10月に権利持分の50%が東レBSFに譲渡され、両社の共同保有となりました(※5)。両社については、2015年9月に東レBSFがLG CHEMの工場を買収という報道があり、この工場買収に合わせ、特許の権利についても持分譲渡があったものと考えられます。このことから、東レBSF、ひいては東レの総合力の高さはLG CHEMの寄与が大きいと言えます。東レの注目度が高い特許もLG CHEMとの共同保有で、熱収縮や短絡を抑制するためのコーティング技術に関する特許が挙げられます。
総合力2位には住友化学が入っており、2010年の8位から順位を上げました。同社の注目度が高い特許として、セパレーターの空隙率に関する特許が挙げられます。
総合力4位の旭化成は、子会社であるCELGARDを合算すると、総合力の順位が2位となります(図2)。
図2:リチウムイオン二次電池セパレーター 競合状況2
旭化成名義で注目度が高い特許として、膜厚、応力、強度といった物性値を規定したもの、CELGARD名義で注目度が高い特許として、セパレーター作成工程に関する特許が挙げられます。
本分析の詳細については、定型レポート「リチウムイオン二次電池 セパレーター」にてご覧いただけます。
(※1)総合力の評価では、個別特許の注目度を得点化する「パテントスコア」を企業や研究機関ごとに集計し、パテントスコアが50点以上のものを合算しています。50点以上のものだけを集計している理由は、パテントスコアが低くても特許件数が多いことによって総合力が上がってしまうことを防ぐためです。なお、権利の持分による合算方法の違いはありません。
(※2)東レについては、「東レ株式会社」及び2017年4月に合併した旧子会社の「東レバッテリーセパレーターフィルム株式会社(東レBSF)」を一つにまとめて集計しています。なお、東レBSFは元々東燃ゼネラル石油グループである東燃化学が行っていた事業でしたが、東レの出資により東レ東燃機能膜を設立、その後合弁が解消され、東レ単体の子会社となった企業です。
(※3)2010年における東燃化学名義での順位。
(※4)2010年における旭化成イーマテリアルズ名義での順位。なお、現在旭化成イーマテリアルズは旭化成本体に吸収され、それに合わせ2010年時点では旭化成イーマテリアルズ名義で有った特許も現在は旭化成名義になっています。
(※5)譲渡割合については、同じパテントファミリーの米国特許における権利移転情報を参照しています。
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