弊社はこのほど、グリーントランスフォーメーション(GX)に関する技術の1つ「バイオ固体燃料」について、世界での特許総合力(※1)を示す「グローバルスコア(※2)」の企業ランキングを、特許分析ツール「Biz Cruncher」を用いて集計しました。
脱炭素社会の実現のためには経済社会システム全体の変革(GX:グリーントランスフォーメーション)が必要とされており、GXへの積極的な取り組みが求められています。本調査では、GX技術区分の1つである「バイオ固体燃料」に注目し、日本、米国、欧州、中国の主要4国・地域における「パテントスコア」(個別特許の注目度を得点化)を合算し、世界における特許の質と量を総合的に見た評価を行いました。
集計の結果、「グローバルスコア 特許総合力ランキング」では、1位 CARBON TECHNOLOGY HD(米)、2位 UBE三菱セメント、3位 大王製紙となりました(表1、図1)。上位5社中4社が日本企業となっており、世界においても日本の強さを示す結果となっています。
【バイオ固体燃料:グローバルスコア 特許総合力トップ5】(表1)
順位 | 企業名 | 総合力 (権利者スコア) |
有効特許件数 | 個別力 (最高スコア) |
---|---|---|---|---|
CARBON TECHNOLOGY HD(米) | 411.0 | 56 | 78.3 | |
UBE三菱セメント | 291.6 | 30 | 78.4 | |
大王製紙 | 246.6 | 14 | 77.2 | |
日本製紙 | 211.0 | 24 | 78.9 | |
太平洋セメント | 184.6 | 48 | 65.8 |
図1:【GX技術】バイオ固体燃料関連技術 競合状況
1位 CARBON TECHNOLOGY HDの注目度の高い特許には、バイオマスを「様々な商業的応用に適した高炭素生体試薬に変換するためのプロセス及びシステム」や、バイオ木炭を土壌成長の増強のため地盤改良材として用いる「生物活性化方法」などが挙げられます。同社では権利移転により入手した特許が比較的多く見られ、前者はBIOGENIC REAGENT VENTURES LLC(米)から、後者はCOOL PLANET ENERGY SYSTEMS INC(米)からそれぞれ権利移転された特許となっています。
2位 UBE三菱セメントの注目度の高い特許には、「屋外貯蔵時の雨水による崩壊や有機成分の排水を抑え、コスト的にも優れたバイオマス固体燃料」や、「粉砕性に優れ、収率が高く、製造コストを低減させたバイオマス固体燃料」などが挙げられます。
3位 大王製紙の注目度の高い特許には、「焙焼されたバイオマスを用いて安定的な燃焼を行うことができる混合燃料の製造方法」などが挙げられます。
4位 日本製紙は、「木質系バイオマスを原料とし、石炭と混合して粉砕処理して得られる固体燃料の製造方法」や「塩素化合物を含有する木質系バイオマスを原料として、塩素含有率及びカリウム含有率の低い固体燃料の製造方法」などが注目度の高い特許として挙げられます。5位 太平洋セメントは、アブラヤシの樹幹から効率よくアルカリ金属及び塩素を除去することができる「アブラヤシの樹幹の前処理方法、バイオマス燃料の製造方法」や「パーム椰子殻を含むバイオマス燃料の受発注システム」などが注目度の高い特許として挙げられます。
6位以下には、日鉄エンジニアリング、JFEエンジニアリング、VALMET TECHNOLOGIES(フィンランド)、XYLECO INC(米)、IFP ENERGIES NOUVELLES(仏)などの企業が上位にそれぞれランクインしています。
本分析の詳細については、『【GX技術】バイオ固体燃料関連技術』グローバルスコア:ランキングデータにてご覧いただけます。
(※1)総合力の評価では、個別特許の注目度を得点化する、「パテントスコア」を企業ごとに集計し、パテントスコアが50点以上のものを合算しています。50点以上のものだけを集計している理由は、パテントスコアが低くても特許件数が多いことによって総合力が上がってしまうことを防ぐためです。
(※2)グローバルスコアは、日本、米国、欧州特許庁、中国の主要4国・地域の出願分についてパテントスコアを合算し、世界での技術競争力を評価したものです。
2024年2月29日までに発行された特許が対象。登録公報と、公開公報が重複している場合は、登録を優先しています。企業等は権利者ベースで集計しています。
ランキングデータ、定型レポートの販売
『【GX技術】バイオ固体燃料関連技術』グローバルスコア:ランキングデータ
グローバルスコアを用いた総合力評価や出願件数などに基づく各種ランキングデータのご提供です。
【収録データ】
・グローバルスコアランキング 上位30社リスト
・有効特許件数ランキング 上位30社リスト
・開発規模(出願件数)ランキング 上位30社リスト
・競合状況分析マップ (権利者スコアマップ)
・母集団の公報リスト
【納品形態】
上記データを収録したエクセルファイルをメールで御納品。
データ一式を収録したCD-Rでの御納品をご希望の場合にはご相談ください。
【価格】
50,000円(税抜)
定型レポート 『【GX技術】バイオ固体燃料関連技術』
「日本特許」「米国特許」「欧州特許」「中国特許」のパテントスコアを用いた定型レポートの作成も承っております。
レポートについてはこちらのページをご覧ください。