弊社はこのほど、機能性食品の関連技術について、参入企業の競争力に関する調査を行いました。機能性食品には栄養補助、ダイエットや医薬品用途などさまざまな効果を持つものがありますが、今回の調査ではそれらをまとめて評価しています。1993年から2011年10月末までに日本の特許庁で公開された関連特許13,278件を対象に、個別特許の注目度を得点化する「パテントスコア」による評価を実施し、特許の質と量から総合的に見た「特許総合力ランキング（※１）」を集計しました。
集計の結果、1位 花王、2位 森永、3位 サントリーとなりました。
【機能性食品関連技術 特許総合力トップ5】
| 順位 | 企業名 | 総合力 （権利者スコア） |
開発規模 （出願件数） |
個別力 （最高スコア） |
|---|---|---|---|---|
| 花王 | 1,055 | 258 | 90.9 pt | |
| 森永 | 670 | 131 | 78.2 pt | |
| サントリー | 662 | 199 | 80.7 pt | |
| 味の素 | 573 | 137 | 86.2 pt | |
| 明治 | 544 | 174 | 86.3 pt | |
図1：機能性食品関連技術 競合状況
1位の花王は、2000年代後半から競争力を高め、2008年に総合力ではトップとなって以降、他社を引き離しつつあります。同社は体質改善や健康補助に関する出願が多くみられます。注目度の高い特許には、「コーヒー豆抽出物を使用した高血圧症治療剤」に関する技術や、「長時間加熱しても、味や見た目等が劣化しない、体脂肪の蓄積抑制効果を持つ油脂組成物」に関する技術があります。
2位の森永は、出願件数は11位であるものの、注目度の面で得点を上げ、総合力で2位となりました。注目度の高い特許には、「下痢などの副作用が少ない、ビフィズス菌増殖促進作用を持つ組成物」に関する技術や、「ラクトフェリンを有効成分とするＢ型慢性肝炎治療に効果のある医薬品または食品」などの技術があります。
3位のサントリーは、医薬品製剤に関する特許が増加傾向にあります。注目度の高い特許には、「ウーロン茶に含まれる成分を利用したアレルギー性疾患治療」に関する技術や「セサミン類及びビタミンＥを有効成分とする抗疲労効果のあるサプリメント」などの技術があります。
※花王：花王、カネボウ化粧品を含む※森永：森永乳業、森永製菓を含む
※サントリー：サントリーホールディングス、サントリー酒類を含む
※味の素：味の素、味の素ゼネラルフーズ、カルピス、Ｊ－オイルミルズを含む
※明治：明治、明治フードマテリア、Ｍｅｉｊｉ Ｓｅｉｋａ ファルマ、明治飼糧を含む
本分析の詳細については、定型レポート「機能性食品関連技術」にてご覧いただけます。
（※１）総合力の評価では、個別特許の注目度を得点化する「パテントスコア」を機関ごとに集計し、パテントスコアが50点以上のものを合算しています。50点以上のものだけを集計している理由は、パテントスコアが低くても特許件数が多いことによって総合力が上がってしまうことを防ぐためです。
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