弊社はこのほど、チーズ、バターやクリーム等、乳製品全般について、参入企業の競争力に関する調査を行いました。
1993年から2011年10月末までに日本の特許庁で公開された関連特許4,248件を対象に、個別特許の注目度を得点化する「パテントスコア」による評価を実施し、特許の質と量から総合的に見た「特許総合力ランキング(※1)」を集計しました。
集計の結果、1位 雪印メグミルク、2位 明治、3位 森永となりました。
【乳製品関連技術 特許総合力トップ5】
順位 | 企業名 | 総合力 (権利者スコア) |
開発規模 (出願件数) |
個別力 (最高スコア) |
---|---|---|---|---|
雪印メグミルク | 872 | 513 | 87.8 pt | |
明治 | 780 | 246 | 69.1 pt | |
森永 | 482 | 178 | 73.3 pt | |
不二製油 | 403 | 125 | 70.8 pt | |
味の素 | 341 | 94 | 95.5 pt | |
図1:乳製品関連技術 競合状況
1位の雪印メグミルクは、2000年以降、出願件数が減少傾向にあるものの、権利化されている特許の件数は2位の明治の倍以上と多く、総合力でトップとなりました。直近年では、チーズ製品に関する出願が多く、注目度の高い特許には、「食品類を混合しても型崩れしない白カビチーズ製品」に関する技術や、「口どけが良好で、爽やかな酸味のあるチーズ含有食品」に関する技術があります。
2位の明治は、近年総合力を高め、1位 雪印メグミルクとの差を縮めつつあります。同社は、国際出願や早期審査請求、優先権主張の割合が高く、権利化意欲が高いことに特徴があります。注目度の高い特許には、「溶解性と強度を併せ持つ固形乳」に関する技術や、「カビによる表面熟成後に加熱殺菌をしても型崩れのない"切れてる"タイプの軟質チーズ」に関する技術があります。
そのほか、3位の森永は、「腸内で消化しにくいガラクトオリゴ糖等の有効成分が含まれる、ビフィズス菌増殖促進組成物」などが、4位の不二製油は「ケーキを凍結・解凍しても型崩れや分離しないクリームの製造法」などが、5位 味の素は「長時間沈澱しにくい乳たんぱく質を含んだ、濃縮タイプの酸性飲料」などが注目度の高い技術として挙げられます。
※明治:明治、Meiji Seika ファルマを含む※森永:森永乳業、森永製菓を含む
※味の素:味の素、クノール食品、カルピス、J-オイルミルズ、味の素ゼネラルフーヅを含む
本分析の詳細については、定型レポート「乳製品関連技術」にてご覧いただけます。
(※1)総合力の評価では、個別特許の注目度を得点化する「パテントスコア」を機関ごとに集計し、パテントスコアが50点以上のものを合算しています。50点以上のものだけを集計している理由は、パテントスコアが低くても特許件数が多いことによって総合力が上がってしまうことを防ぐためです。
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