GoogleとSONYが組む理由
Google TVが発表された。
Logitechのセットトップボックスに加え、SONYのTV本体も合わせてのリリースである。
一方、Appleは、セットトップボックス方式のみのApple TVの新バージョンを発表している。
独自ハードウェアの伝統の長いAppleと、オープンなイメージのあるGoogleがこのような戦略の違いを見せているのは対照的である。
一見すると、Appleの戦略のほうがより身軽なスタートであり、効率的であるようにも見える。
Google TVに、SONYというハードウェアメーカーがここまで強く関わる理由は何が考えられるであろうか?
特許の激戦区
このようなTV機器の分野は「双方向TV」という分野として、古くから特許の激戦区となっている分野である。
特にこの分野はテレビ画面に表示される「電子番組表」をめぐって、防衛の意味での特許取得の応酬が続いている。
電子番組表のデザインや機能は、リバースエンジニアリングせずとも手の内がわかり、それでいてインターネットとの接続も考慮すれば無限の工夫が考えられる。
そのため、この分野で強烈な特許を他社に取得されれば、即命取りとなりかねない。
米国特許の世界では、米国企業や日本のTVメーカーが古くから争っているが、ここ4~5年ではサムスンやLGなどの韓国勢の出願が急増。
その勢いはいまや日本企業を大幅に上回っている。
SONYの強み
このように韓国勢の猛烈な追い上げは、新興国市場でのTV普及台数シェアのみならず、知財の面でも無視できるものではなくなってくるだろう。
このように、TVに関しては他の企業も強い勢いを持っているという状況で、Googleはなぜ老舗のSONYを選んだのか。
Googleがこの分野に出てくるからには、莫大な広告収入、それもWEB広告と同様に個人の好みにフィットする広告の配信を視野に入れているはずである。
そこで、双方向TVの分野の中でも特に「個人の趣向に合わせた番組表・情報・広告の配信」の分野に限定して、企業の力関係を見てみると、SONYが際立った存在である事が分かる。
この企業の力関係が示唆するのは、「個人にフィットする情報・広告配信」の分野ではソニーとマイクロソフトの二強が、知財の面で今後Googleの活躍を阻む可能性があるという事である。
そのため、Googleがこの分野に最初からSONYと共に乗り出すという事は、知財の面でもすでにSONYと何らかの合意形成があり、今後二社間での争いの可能性が低く抑えられていると予想できる。
知財のトレンド
この分野で伝統的に争われていた電子番組表の分野は、今後も重要な要素の一つではあるだろう。
しかし、GoogleのWEB広告分野での成功や、レコメンデーションシステムの高速な実装が当たり前の状況になったことで、急速にTV広告の姿が変わり、新しい価値を持つようになる可能性がある。
SONYがこの分野でいち早く知財の網を張っていたことが、今回のGoogleとのタッグに結果的にせよ強烈な効果を持つことは確実だ。
しかし、今のところ息をひそめているかに見えるマイクロソフトや、電子番組表で見せた韓国勢の追い上げには今後も注意していく必要はあるだろう。
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