弊社はこのほど、独自に分類した化学業界の企業を対象に、2014年の特許審査過程において他社特許への拒絶理由として引用された件数を企業別に集計した「化学業界 他社牽制力ランキング2014」をまとめました(※)。この集計により、直近の技術開発において競合他社が権利化する上で、阻害要因となる先行技術を多数保有している先進的な企業が明らかになります。
集計の結果、2014年に最も引用された企業は、富士フイルムの5,852件、次いで花王の1,837件、三菱化学の1,776件となりました。
【化学業界 他社牽制力ランキング2014 上位10社】
順位 | 企業名 | 引用された 特許数 |
---|---|---|
富士フイルム | 5,852 | |
花王 | 1,837 | |
三菱化学 | 1,776 | |
積水化学工業 | 1,649 | |
日東電工 | 1,268 | |
住友化学 | 1,247 | |
三井化学 | 1,235 | |
信越化学工業 | 1,100 | |
日立化成 | 1,077 | |
カネカ | 946 | |
1位富士フイルムの最も引用された特許は、「無機結晶性配向膜」に関する特許(特許第5215158号)で、後発の特許21件の審査過程で拒絶理由として引用されており、この21件はいずれも半導体エネルギー研究所の特許となっています。
2014年に、富士フイルムの特許によって影響を受けた件数が最も多い企業はキヤノン、次いでコニカミノルタ、セイコーエプソン、ニコンとなっています。
2位花王の最も引用された特許は、昨年に引き続き「ガスバリア用材料(特許第4965528号)」で、後発の特許12件の審査過程で拒絶理由として引用されており、企業別には凸版印刷の7件をはじめ、住友ベークライトの2件などとなっています。
2014年に、花王の特許によって影響を受けた件数が最も多い企業はP&G、次いでユニ・チャーム、L'Oreal、ライオンとなっています。
3位三菱化学の最も引用された特許は、「熱線遮蔽膜」に関する特許(特願2008-233551)で、後発の特許11件の審査過程で拒絶理由として引用されており、この11件はいずれもコニカミノルタの特許となっています。
2014年に引用された三菱化学の1,776件の特許を分野別にみると「リチウムイオン二次電池」「有機EL」などの技術が多くなっています。
日本特許庁に特許出願され、2014年12月までに公開されたすべての特許のうち、2014年1月から12月末までの期間に拒絶理由(拒絶理由通知または拒絶査定)として引用された特許を抽出。
※本ランキングでは、権利移転を反映した集計を行っています。2015年3月末時点で権利を保有している企業の名義でランキングしているため、出願時と企業名が異なる可能性があります。
※業種は総務省の日本標準産業分類を参考に分類しています。
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