弊社はこのほど、独自に分類した食品業界の企業を対象に、2014年の特許審査過程において他社特許への拒絶理由として引用された件数を企業別に集計した「食品業界 他社牽制力ランキング2014」をまとめました(※)。この集計により、直近の技術開発において競合他社が権利化する上で、阻害要因となる先行技術を多数保有している先進的な企業が明らかになります。
集計の結果、2014年に最も引用された企業は、味の素の349件、次いでキリンホールディングスの298件、日本たばこ産業の192件となりました。
【食品業界 他社牽制力ランキング2014 上位10社】
順位 | 企業名 | 引用された 特許数 |
---|---|---|
味の素 | 349 | |
キリンホールディングス | 298 | |
日本たばこ産業 | 192 | |
雪印メグミルク | 186 | |
サントリーホールディングス | 178 | |
明治 | 172 | |
アサヒグループホールディングス | 163 | |
森永乳業 | 140 | |
日清製粉グループ本社 | 138 | |
太陽化学 | 131 | |
を用いて計算しているため、昨年発表時と企業の定義が異なっております。
1位味の素の最も引用された特許は、「γ-PGAを含有する脂質吸収阻害剤(特願2008-315415)」および、「炎症性腸疾患の治療薬」に関する特許(特許第5554466号)で、前者は花王の特許4件、後者はイーエヌ大塚製薬の特許4件の審査過程で拒絶理由として引用されています。
2014年に他社特許への拒絶理由として引用された、味の素の349件の特許を分野別にみると、食料品や化粧料、遺伝子工学のほか、回路基板の絶縁層形成のための樹脂組成物などが多くなっています。また、2014年に味の素の特許によって影響を受けた件数が最も多い企業は花王、次いで三菱化学となっています。
2位キリンホールディングスの最も引用された特許は、キリンビール、松谷化学工業、三菱商事の3社の保有となっている「低カロリービール風味アルコール飲料」に関する特許(特許第4908390号)」および、協和発酵キリンの「免疫機能分子の活性を調節する方法(特許第4368530号)」で、前者はサッポロビールの特許5件、後者は中外製薬や未来創薬研究所、Genentech(米)など計5件の審査過程において拒絶理由としてそれぞれ引用されています。
3位日本たばこ産業の引用された件数の多い特許には、「抗腫瘍剤として有用なピリミジン化合物」に関する特許(特許第4163738号)や、「新規酵母及び酵母エキス(特許第4638591号)」が挙げられ、前者はGlaxoSmithKlineの5件、後者はアサヒグループホールディングスの2件のほか、味の素、Angel Yeast(中国)の計4件の審査過程において拒絶理由としてそれぞれ引用されています。
2014年に、日本たばこ産業の特許によって影響を受けた件数が多い企業のうち、Philip Morris Productsなどの、たばこ関連メーカー以外では、GlaxoSmithKline、ヤンマーのほか、アサヒグループホールディングス、富士電機などが挙げられます。
(注):企業グループ作成のため、名寄せの対象とした企業は下記の通りです。
「アサヒグループHD」:アサヒグループホールディングス、アサヒビール、
アサヒビールモルト、アサヒフードアンドヘルスケア、アサヒ飲料、
カルピス、ニッカウイスキー、天野実業、日本エフディ、和光堂
「キッコーマン」:キッコーマン、キッコーマンソイフーズ、日本デルモンテ、マンズワイン
「キリンHD」:キリンホールディングス、キリン、キリンエンジニアリング、
キリンテクノシステム、キリンビール、キリンビバレッジ、メルシャン、
協和発酵キリン、協和発酵バイオ
「サッポロHD」:サッポロビール、ポッカサッポロフード&ビバレッジ
「サントリーHD」:サントリーホールディングス、サントリー食品インターナショナル、
サントリーフラワーズ、サントリー酒類
「ニチレイ」:ニチレイ、ニチレイフーズ
「MIZKAN HOLDINGS」:MIZKAN HOLDINGS、ミツカン
「森永乳業」:森永乳業、森永製菓
「雪印メグミルク」:雪印メグミルク、雪印食品、雪印種苗、協同乳業、イーエヌ大塚製薬
「日清製粉グループ本社」:日清製粉グループ本社、日清製粉、日清フーズ、日清ファルマ、
日清エンジニアリング、日清丸紅飼料、日本ロジテム、
NBCメッシュテック、オリエンタル酵母工業、トオカツフーズ、
マ・マーマカロニ
「日本たばこ産業」:日本たばこ産業、ジェイティエンジニアリング、富士フレーバー、
テーブルマーク、鳥居薬品
「不二製油」:不二製油、オーム乳業
「宝ホールディングス」:宝ホールディングス、宝酒造、タカラバイオ
「味の素」:味の素、クノール食品、ギャバン
「明治」:明治、Meiji Seika ファルマ、明治飼糧
日本特許庁に特許出願され、2014年12月までに公開されたすべての特許のうち、2014年1月から12月末までの期間に拒絶理由(拒絶理由通知または拒絶査定)として引用された特許を抽出。
※本ランキングでは、権利移転を反映した集計を行っています。2015年3月末時点で権利を保有している企業の名義でランキングしているため、出願時と企業名が異なる可能性があります。
※業種は総務省の日本標準産業分類を参考に分類しています。
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その他、審査官引用分析に関する特定企業の調査依頼も別途承ります。