弊社はこのほど、独自に分類した精密機器業界の企業を対象に、2016年の特許審査過程において他社特許への拒絶理由として引用された件数を企業別に集計した「精密機器業界 他社牽制力ランキング2016」をまとめました。この集計により、直近の技術開発において競合他社が権利化する上で、阻害要因となる先行技術を多数保有している先進的な企業が明らかになります。
集計の結果、2016年に最も引用された企業はキヤノン、次いでセイコーエプソン、リコーとなりました。
【精密機器業界 他社牽制力ランキング2016 上位10社】
順位 | 企業名 | 引用された 特許数 |
---|---|---|
キヤノン | 8,944 | |
セイコーエプソン | 5,379 | |
リコー | 4,616 | |
コニカミノルタ | 4,252 | |
富士ゼロックス | 3,000 | |
オリンパス | 2,581 | |
大日本印刷 | 2,506 | |
ニコン | 2,100 | |
凸版印刷 | 1,549 | |
京セラドキュメントソリューションズ | 932 | |
1位 キヤノンの最も引用された特許は、3年連続で「電界効果型トランジスタ」(特許第4560502号)となっており、後発の特許26件の審査過程で拒絶理由として引用されています。この26件は、すべて半導体エネルギー研究所の特許となっています。
このほか、「電界効果型トランジスタと有機ELを同一基板上に積層した発光素子」(特許第5197058号)や「低温定着性と耐高温オフセット性に優れたトナー」(特許第5558952号)などが引用された件数の多い特許として挙げられます。
2016年に、キヤノンの特許によって影響を受けた件数が最も多い企業はリコー(912件)、次いで、セイコーエプソン(429件)、富士ゼロックス(406件)となっています。
2位 セイコーエプソンの最も引用された特許は、「ゴルフクラブのスイング評価を支援する技術」(特願2006-255623)で、後発の特許6件の審査過程で拒絶理由として引用されており、企業別にはニコンの3件、カシオ計算機の1件、ヤマハの1件、デュソンテクノロジーの1件となっています。このほか、「GPS時刻修正機能付き腕時計」に関する特許(特許第5374912号)や「小型化、省スペース化が可能な光源を備えたプロジェクタ」に関する特許(特許第4379482号)などが引用された件数の多い特許として挙げられます。
2016年に、セイコーエプソンの特許によって影響を受けた件数が最も多い企業はリコー(393件)で、キヤノン(245件)、ブラザー工業(190件)と続いています。
3位 リコーの最も引用された特許は、「携帯端末を用いた複合機の操作」に関する特許(特許第5446519号)で、キヤノン、シャープ、ブラザー工業などの後発の特許7件の審査過程で拒絶理由として引用されています。このほか、「ヘルプ情報提供システム」に関する特許(特許第5298984号)や「過酷な温度、湿度の環境下においても安定的な画像が形成できるトナー」に関する特許(特許第5418085号)などが引用された件数の多い特許として挙げられます。
2016年に、リコーの特許によって影響を受けた件数が最も多い企業はキヤノン(464件)で、富士ゼロックス(399件)、コニカミノルタ(309件)と続いています。
日本特許庁に特許出願され、2016年12月までに公開されたすべての特許のうち、2016年1月から12月末までの期間に拒絶理由(拒絶理由通知または拒絶査定)として引用された特許を抽出。
本ランキングでは、権利移転を反映した集計を行っています。2017年7月21日時点で権利を保有している企業の名義でランキングしているため、出願時と企業名が異なる可能性があります。
業種は総務省の日本標準産業分類を参考に分類しています。
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