株式会社パテント・リザルトはこのほど、独自に分類した繊維・紙・パルプ業界の企業を対象に、2018年の特許審査過程において他社特許への拒絶理由として引用された件数を企業別に集計した「繊維・紙・パルプ業界 他社牽制力ランキング2018」をまとめました。この集計により、直近の技術開発において競合他社が権利化する上で、阻害要因となる先行技術を多数保有している先進的な企業が明らかになります。
集計の結果、2018年に最も引用された企業は、東レ、次いで東洋紡、クラレとなりました。
【繊維・紙・パルプ業界 他社牽制力ランキング2018 上位10社】
順位 | 企業名 | 引用された 特許数 |
---|---|---|
東レ | 1,780 | |
東洋紡 | 563 | |
クラレ | 531 | |
帝人 | 530 | |
王子ホールディングス | 416 | |
大王製紙 | 334 | |
ユニチカ | 292 | |
三菱製紙 | 235 | |
3M | 233 | |
日本製紙 | 154 | |
1位東レの最も引用された特許は、「ポリエステル樹脂組成物およびその製造方法」に関する特許(特許第5272291号)や、「積層体の製造方法」に関する特許(特許第6099875号)で、それぞれ後発の特許6件の審査過程で拒絶理由として引用されています。このほかには「耐熱性に優れたポリエステルおよびその製造方法」に関する特許(特許第5316725号)や「積層フィルムの製造方法」に関する特許(特許第3966171号)などが引用された件数の多い特許として挙げられます。
2018年に、東レの特許によって影響を受けた件数が最も多い企業は三菱ケミカル (112件)、次いで、旭化成(45件)、日立化成(28件)と大日本印刷(28件)が続いています。
2位東洋紡の最も引用された特許は、昨年に続いて「液晶表示装置、偏光板および偏光子保護フィルム」に関する特許(特許第4962661号)で、大日本印刷の特許6件を含む後発の特許7件の審査過程で拒絶理由として引用されています。このほかには「ガラス/樹脂積層体の製造方法」に関する特許(特許第5723776号)、「ポリアミドの連続製造方法」に関する特許(特許第5402729号)、「三次元画像表示対応液晶表示装置に適した偏光板及び液晶表示装置」に関する特許(特許第6180113号)などが引用された件数の多い特許として挙げられます。
2018年に、東洋紡の特許によって影響を受けた件数が最も多い企業は三菱ケミカル(39件)、次いで、大日本印刷(16件)、東レ(15件)となっています。
3位クラレの最も引用された特許は、「複合構造体の製造方法」に関する特許(特許第5908918号)で、凸版印刷の特許4件を含む後発の特許5件の審査過程で拒絶理由として引用されています。次いで、「半芳香族ポリアミド樹脂」に関する特許(特願2006-524154)が多く、後発の特許4件の審査過程において拒絶理由として引用されています。
2018年に、クラレの特許によって影響を受けた件数が最も多い企業はユニチカ(16件)、次いで、住友化学(14件)、三菱ケミカル(13件)と大日本印刷(13件)が続いています。
日本特許庁に特許出願され、2018年12月までに公開されたすべての特許のうち、2018年1月から12月末までの期間に拒絶理由(拒絶理由通知または拒絶査定)として引用された特許を抽出。
本ランキングでは、権利移転を反映した集計を行っています。2019年5月7日時点で権利を保有している企業の名義でランキングしているため、出願時と企業名が異なる可能性があります。
業種は総務省の日本標準産業分類を参考に分類しています。
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