株式会社パテント・リザルトはこのほど、医薬品業界を対象に、2019年の特許審査過程において他社特許への拒絶理由として引用された特許件数を企業別に集計した「医薬品業界 他社牽制力ランキング2019」をまとめました。この集計により、直近の技術開発において競合他社が権利化する上で、阻害要因となる先行技術を多数保有している先進的な企業が明らかになります。
集計の結果、2019年に最も引用された企業は、MERCK(独・メルク)、次いでBAYER、ROCHE(F.HOFFMANN LA ROCHE)となりました。
【医薬品業界 他社牽制力ランキング2019 上位10社】
順位 | 企業名 | 引用された 特許数 |
---|---|---|
MERCK(独・メルク) | 393 | |
BAYER | 337 | |
ROCHE | 322 | |
PFIZER | 293 | |
NOVARTIS | 271 | |
GLAXOSMITHKLINE | 216 | |
武田薬品工業 | 209 | |
MERCK SHARP & DOHME(米・メルク) | 186 | |
BRISTOL-MYERS SQUIBB | 177 | |
大塚製薬 | 161 | |
※当ランキングでは、企業グループを考慮した名寄せを行っております。
2位 BAYERの最も引用された特許「情報層中に吸光性化合物としてメロシアニン色素を含有する光学データ記録媒体」に関する特許で、LANXESSの4件を含む計5件の審査過程において引用されています。このほかには、「粘性を低下させたポリ硫化アリーレン」に関する特許や「ヒト組織因子経路インヒビターの特定のエピトープに結合する単離されたモノクローナル抗体」に関する特許などが引用された件数の多い特許として挙げられます。
2019年に、BAYERの特許によって影響を受けた件数を見ると、COVESTRO DEUTSCHLANDが最も多く(15件)、次いでDOW AGROSCIENCES(6件)となっています。
3位 ROCHEの最も引用された特許は「ヒトCSF-1Rに対する抗体の併用療法」に関する技術などが挙げられ、大日本住友製薬の「WT1抗原ペプチドおよび免疫調節剤の併用」関連特許の審査過程などで引用されています。
2019年にROCHEの特許によって影響を受けた件数が最も多い企業はGENETECH(8件)で、AMGEN(6件)と続いています。
日本企業では、7位に武田薬品工業(209件)、10位に大塚製薬(161件)がランクインしています。武田薬品工業の引用された件数が多い特許には「骨粗鬆症などの治療に有用なヒト副甲状腺ホルモンを含む薬学的製剤」「喘息及びCOPDをより効果的に治療する方法」などが、大塚製薬の引用された件数が多い特許には「コンディショニング効果を有する頭皮頭髪洗浄用組成物」「中枢神経疾患を治療するための組合せ薬剤」などが挙げられます。
日本特許庁に特許出願され、2019年12月までに公開されたすべての特許のうち、2019年1月から12月末までの期間に拒絶理由(拒絶理由通知または拒絶査定)として引用された特許を抽出。
本ランキングでは、権利移転を反映した集計を行っています。2020年5月29日時点で権利を保有している企業の名義でランキングしているため、出願時と企業名が異なる可能性があります。
業種は総務省の日本標準産業分類を参考に分類しています。
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