弊社はこのほど「紙・繊維・パルプ業界」を対象に、2020年の特許審査過程において他社特許への拒絶理由として引用された特許件数を企業別に集計した「紙・繊維・パルプ業界 他社牽制力ランキング2020」をまとめました。この集計により、直近の技術開発において競合他社が権利化する上で、阻害要因となる先行技術を多数保有している先進的な企業が明らかになります。
集計の結果、2020年に最も引用された企業は、東レ、次いで東洋紡、帝人となりました。
【紙・繊維・パルプ業界 他社牽制力ランキング2020 上位10社】
順位 | 企業名 | 引用された 特許数 |
---|---|---|
東レ | 1,671 | |
東洋紡 | 513 | |
帝人 | 503 | |
王子ホールディングス | 441 | |
大王製紙 | 322 | |
ユニチカ | 288 | |
三菱製紙 | 198 | |
3M | 177 | |
日本製紙 | 173 | |
グンゼ | 144 | |
1位 東レの最も引用された特許は「放熱性に優れ、かつ生産性の高いLED発光装置」に関する技術で、大日本印刷などの計5件の審査過程で引用されています。このほかには「半導体装置の製造方法・製造装置」に関する技術が引用された件数の多い特許として挙げられ、昭和電工マテリアルズなどの計4件の拒絶理由として引用されています。
2020年に、東レの特許によって影響を受けた件数が最も多い企業は三菱ケミカル(73件)、次いで大日本印刷(46件)、旭化成(37件)となっています。
2位 東洋紡の最も引用された特許は「耐衝撃性や屈曲性、力学強度のバランスに優れたポリエステルフィルム」に関する技術で、ユニチカや花王などの計5件の審査過程で引用されています。このほか「強度や弾性率が飛躍的に優れた比強度の高い構造材用複合材料」に関する技術が引用された件数の多い特許として挙げられ、富士フイルムなどの計5件の拒絶理由として引用されています。
2020年に、東洋紡の特許によって影響を受けた件数が最も多い企業は、東レ(22件)、次いで三菱ケミカル(19件)、日東電工(18件)となっています。
3位 帝人の最も引用された特許は「高透明、低複屈折の光学レンズ用ポリカーボネート共重合体」に関する技術で、三菱ガス化学の「熱可塑性樹脂組成物」関連特許など計8件の審査過程において拒絶理由として引用されています。
2020年に、帝人の特許によって影響を受けた件数が最も多い企業は、三菱ケミカル(31件)、次いで三菱ガス化学(17件)、東レ(15件)となっています。
そのほか、4位 王子ホールディングスは「セルロース繊維、ゴム組成物、加硫ゴム組成物およびタイヤ」、5位 大王製紙は「熱可塑性樹脂組成物の製造方法」が、最も引用された特許として挙げられます。
日本特許庁に特許出願され、2020年12月までに公開されたすべての特許のうち、2020年1月から12月末までの期間に拒絶理由(拒絶理由通知または拒絶査定)として引用された特許を抽出。
本ランキングでは、権利移転を反映した集計を行っています。2021年5月1日時点で権利を保有している企業の名義でランキングしているため、出願時と企業名が異なる可能性があります。
業種は総務省の日本標準産業分類を参考に分類しています。
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