弊社はこのほど「ゼネコン業界」を対象に、2021年の特許審査過程において他社特許への拒絶理由として引用された特許件数を企業別に集計した「ゼネコン業界 他社牽制力ランキング2021」をまとめました。この集計により、直近の技術開発において競合他社が権利化する上で、阻害要因となる先行技術を多数保有している先進的な企業が明らかになります。
集計の結果、2021年に最も引用された企業は、清水建設、次いで大林組、大成建設となりました。
【ゼネコン業界 他社牽制力ランキング2021 上位10社】
順位 | 企業名 | 引用された 特許数 |
---|---|---|
清水建設 | 447 | |
大林組 | 344 | |
大成建設 | 340 | |
鹿島建設 | 328 | |
竹中工務店 | 297 | |
フジタ | 129 | |
熊谷組 | 103 | |
前田建設工業 | 98 | |
戸田建設 | 79 | |
安藤ハザマ | 73 | |
1位 清水建設の最も引用された特許は「予め設定した場所とは違う場所で建物検査を行う際の検査支援装置」に関する技術で、鹿島建設や高砂熱学工業などの計4件の審査過程で引用されています。このほか「ARマーカを用いずに撮像画像と仮想画像を合成し、正確な竣工イメージを表示する合成画像表示システム」に関する技術が引用された件数の多い特許として挙げられ、大林組などの計3件の拒絶理由として引用されています。
2021年に、清水建設の特許によって影響を受けた件数が最も多い企業は竹中工務店(45件)、次いで大成建設(23件)、鹿島建設(20件)となっています。
2位 大林組の最も引用された特許は「梁端接合部の構造耐力を向上できるH形鋼製梁の梁端接合部構造」に関する技術で、竹中工務店などの計3件の審査過程で引用されています。このほか「トンネル支保材の連結構造」に関する技術が引用された件数の多い特許として挙げられ、前田建設工業の計3件の拒絶理由として引用されています。
2021年に、大林組の特許によって影響を受けた件数が最も多い企業は、竹中工務店(39件)、鹿島建設、清水建設(いずれも23件)となっています。
3位 大成建設の最も引用された特許は「空間の温度などの環境物理要素の3次元空間分布をリアルタイムで把握できる空調環境モニタリングシステム」に関する技術で、三菱電機の計4件の審査過程において拒絶理由として引用されています。
2021年に、大成建設の特許によって影響を受けた件数が最も多い企業は、竹中工務店(48件)、次いで鹿島建設(29件)、清水建設(21件)となっています。
そのほか、4位 鹿島建設は「異なる作業を行う複数の建設機械を自動運転で作業させることができる建設機械の施工方法」、5位 竹中工務店は「トンネルなどのコンクリートの健全性を、走行しながら非接触で検知し、その剥落危険度を総合的に判断するコンクリート欠陥検査装置」が、最も引用された特許として挙げられます。
【ランキングの集計について】
日本特許庁に特許出願され、2021年12月までに公開されたすべての特許のうち、2021年1月から12月末までの期間に拒絶理由(拒絶理由通知または拒絶査定)として引用された特許を抽出。
本ランキングでは、権利移転を反映した集計を行っています。2022年4月15日時点で権利を保有している企業の名義でランキングしているため、出願時と企業名が異なる可能性があります。
業種は総務省の日本標準産業分類を参考に分類しています。
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