弊社はこのほど「繊維・紙・パルプ業界」を対象に、2022年の特許審査過程において他社特許への拒絶理由として引用された特許件数を企業別に集計した「繊維・紙・パルプ業界 他社牽制力ランキング2022」をまとめました。この集計により、直近の技術開発において競合他社が権利化する上で、阻害要因となる先行技術を多数保有している先進的な企業が明らかになります。
集計の結果、2022年に最も引用された企業は、1位 東レ、2位 東洋紡、3位は同数で王子ホールディングス、帝人となりました。
【繊維・紙・パルプ業界 他社牽制力ランキング2022 上位10社】
順位 | 企業名 | 引用された 特許数 |
---|---|---|
東レ | 1,646 | |
東洋紡 | 639 | |
王子ホールディングス | 489 | |
帝人 | 489 | |
大王製紙 | 411 | |
ユニチカ | 279 | |
日本製紙 | 174 | |
三菱製紙 | 164 | |
3M | 156 | |
グンゼ | 136 | |
1位 東レの最も引用された特許は「接合強度が高く、気密性に優れた部材を接合した樹脂複合成形体」に関する技術で、GOERTEKの計6件の審査過程で引用されています。このほかには「生体信号検出衣料」に関する技術が引用された件数の多い特許として挙げられ、東洋紡などの計4件の拒絶理由として引用されています。
2022年に、東レの特許によって影響を受けた件数が最も多い企業は三菱ケミカル(53件)、次いで東洋紡(47件)となっています。
2位 東洋紡の最も引用された特許は「高温又は高温高湿環境下で発生する偏光板/液晶セル/偏光板からなる積層体の反りを軽減した液晶表示装置」に関する技術で、SHANJIN OPTOELECTRONICSなどの計5件の審査過程で引用されています。
2022年に、東洋紡の特許によって影響を受けた件数が最も多い企業は、大日本印刷(27件)、次いで三菱ケミカル(27件)となっています。
3位 王子ホールディングスの最も引用された特許は「微細セルロース繊維含有樹脂組成物」に関する技術で、古河電気工業の計4件の審査過程において拒絶理由として引用されています。
2022年に、王子ホールディングスの特許によって影響を受けた件数が最も多い企業は、大王製紙(43件)、次いでユニ・チャーム(39件)となっています。
帝人の最も引用された特許は「非水系二次電池用セパレータ及び非水系二次電池」に関する技術で、積水化学工業など計3件の審査過程において拒絶理由として引用されています。
2022年に、帝人の特許によって影響を受けた件数が最も多い企業は、東レ(25件)、次いで日東電工(17件)となっています。
【ランキングの集計について】
日本特許庁に特許出願され、2022年12月までに公開された全特許のうち、2022年1月~12月末の期間に拒絶理由(拒絶理由通知または拒絶査定)として引用された特許を対象に、抽出・集計をしています。
また本ランキングでは、権利移転を反映した集計を行っています。2023年5月時点で権利を保有している企業の名義でランキングしているため、出願時と企業名が異なる可能性があります。
なお各企業の業種につきましては、総務省の日本標準産業分類等を参考に分類しています。
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