弊社はこのほど「自動車部品業界」を対象に、2023年の特許審査過程において他社特許への拒絶理由として引用された特許件数を企業別に集計した「自動車部品業界 他社牽制力ランキング2023」をまとめました。この集計により、直近の技術開発において競合他社が権利化する上で、阻害要因となる先行技術を多数保有している先進的な企業が明らかになります。
集計の結果、2023年に最も引用された企業は、デンソー、次いでアイシン、日立ASTEMOとなりました。
【自動車部品業界 他社牽制力ランキング2023 上位10社】
順位 | 企業名 | 引用された 特許数 |
---|---|---|
デンソー | 5,035 | |
アイシン | 1,648 | |
日立ASTEMO | 1,247 | |
住友電装 | 1,071 | |
矢崎総業 | 892 | |
ジェイテクト | 723 | |
SOKEN | 421 | |
豊田合成 | 418 | |
トヨタ紡織 | 367 | |
ROBERT BOSCH(独) | 341 | |
※当ランキングでは、企業グループを考慮した名寄せを行っております。
1位 デンソーの最も引用された特許は「良品と欠陥品の識別を行う外観検査装置用の高精度な変換データ生成」に関する技術で、オムロンや清水建設などの計7件の審査過程で引用されています。このほかには「距離測定装置及び距離測定方法」に関する技術が引用された件数の多い特許として挙げられ、HIMAX TECHNOLOGIES(台)などの計6件の拒絶理由として引用されています。
2023年に、デンソーの特許によって影響を受けた件数が最も多い企業はトヨタ自動車(395件)、次いで三菱電機(174件)となっています。
2位 アイシンの最も引用された特許は「運転者と利用者が異なる場合でも目的地案内の引き継ぎが可能な車両用の経路案内システム」に関する技術で、本田技研工業の計4件の審査過程で引用されています。このほか「モータの製造方法およびモータコア」に関する技術が引用された件数の多い特許として挙げられ、日本製鉄などの計4件の拒絶理由として引用されています。
2023年に、アイシンの特許によって影響を受けた件数が最も多い企業はトヨタ自動車(128件)、次いでデンソー(88件)です。
3位 日立ASTEMOの最も引用された特許は「複数の移動体の位置や動きを予測して、自車両の衝突回避制御を行う交差点右左折支援システム」に関する技術で、マツダなど計6件の審査過程において拒絶理由として引用されています。
2023年に、日立ASTEMOの特許によって影響を受けた件数が最も多い企業はデンソー(112件)、次いでトヨタ自動車(83件)となっています。
そのほか、4位 住友電装は「同軸コネクタ」、5位 矢崎総業は、トヨタ自動車と共同出願の「車両の内装パネルに組み込まれる表示装置」が、最も引用された特許として挙げられます。
【ランキングの集計について】
日本特許庁に特許出願され、2023年12月までに公開された全特許のうち、2023年1月~12月末の期間に拒絶理由(拒絶理由通知または拒絶査定)として引用された特許を対象に、抽出・集計をしています。
また本ランキングでは、権利移転を反映した集計を行っています。2024年5月時点で権利を保有している企業の名義でランキングしているため、出願時と企業名が異なる可能性があります。
なお各企業の業種につきましては、総務省の日本標準産業分類等を参考に分類しています。
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