弊社はこのほど「医薬品業界」を対象に、2024年の特許審査過程において他社特許への拒絶理由として引用された特許件数を企業別に集計した「医薬品業界 他社牽制力ランキング2024」をまとめました。この集計により、直近の技術開発において競合他社が権利化する上で、阻害要因となる先行技術を多数保有している先進的な企業が明らかになります。
集計の結果、2024年に最も引用された企業は、F. HOFFMANN LA ROCHE(スイス、以下:ROCHE)、次いでNOVARTIS(スイス)、MERCK(独)となりました。
【医薬品業界 他社牽制力ランキング2024 上位10社】
順位 | 企業名 | 引用された 特許数 |
---|---|---|
F. HOFFMANN LA ROCHE(スイス) | 325 | |
NOVARTIS(スイス) | 316 | |
MERCK(独) | 294 | |
BAYER(独) | 272 | |
PFIZER(米) | 242 | |
BRISTOL-MYERS SQUIBB(米) | 211 | |
SANOFI(仏) | 210 | |
GLAXOSMITHKLINE(米) | 209 | |
ABBOTT(独) | 203 | |
GENENTECH(米) | 193 | |
※当ランキングでは、企業グループを考慮した名寄せを行っております。
※MERCKは医薬・化学企業ですが、同社発表の売上割合を基に医薬品業界に分類しています。
このため、当ランキングで対象とした同社特許には「化学」技術に関するものも含まれています。
1位 ROCHEの最も引用された特許は「改善されたバイオアベイラビリティにより、がんなどの治療用途を実現する薬学的組成物」に関する技術で、BIONOMICS(豪)などの計4件の審査過程で引用されています。このほかには「ミュータントインターロイキン−2ポリペプチド」に関する技術が引用された件数の多い特許として挙げられ、UNIVERSITY OF CHICAGO(米)などの計4件の拒絶理由として引用されています。
2024年に、ROCHEの特許によって影響を受けた件数が多い企業はREGENERON PHARMACEUTICALS(米)(7件)となっています。
2位 NOVARTISの最も引用された特許は「癌性または感染性状態および障害の処置、予防または診断に使用できる医薬品用の抗体分子」に関する技術で、アステラス製薬などの計6件の審査過程で引用されています。このほか「免疫細胞の有効性および増大を改善する方法」に関する技術が引用された件数の多い特許として挙げられ、東海国立大学機構などの計5件の拒絶理由として引用されています。
2024年に、NOVARTISの特許によって影響を受けた件数が最も多い企業はBRISTOL-MYERS SQUIBB(10件)、次いでAMGEN(米)(7件)です。
3位 MERCKの最も引用された特許は「がん治療に使用できる標的TGFβ阻害薬」に関する技術で、BOLT BIOTHERAPEUTICS(米)など計6件の審査過程において拒絶理由として引用されています。
2024年に、MERCKの特許により影響を受けた件数が多い医薬品業界の企業は、LT MATERIALS(韓)(7件)、次いで住友化学(6件)となっています。
そのほか、4位 BAYERは「植物病原性真菌を防除する殺真菌剤組成物」、5位 PFIZERは「細胞内シグナル伝達ドメインを含むCD70へ特異的に結合するキメラ抗原受容体」が、最も引用された特許として挙げられます。
【ランキングの集計について】
日本特許庁に特許出願され、2024年12月までに公開された全特許のうち、2024年1月~12月末の期間に拒絶理由(拒絶理由通知または拒絶査定)として引用された特許を対象に、抽出・集計をしています。
また本ランキングでは、権利移転を反映した集計を行っています。2025年5月時点で権利を保有している企業の名義でランキングしているため、出願時と企業名が異なる可能性があります。
なお各企業の業種につきましては、総務省の日本標準産業分類等を参考に分類しています。
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本ランキングの詳細データを、下記の通り販売しています。
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