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出願人スコアマップで「太陽電池」分野の競合状況を可視化する

「注目する技術分野において、参入企業の競争力を特許の質と量の両面から総合的に評価したい」といった場合に、最も明快な判断指標を提供するのが、「出願人スコアマップ」です。出願人ごとの相対的な強みや特徴が、「円の大きさ」とその「ポジション」でシンプルに示されるので、分析対象の特許公報群における競争力をひと目で 把握することができます。

総合力、個別特許の強さ、出願件数を1つの図表で可視化

図1に太陽電池分野における出願人スコアマップを示しました（※1）。このうち今回はセルメーカー6社（シャープ、三洋電機、京セラ、カネカ、三菱重工業、三菱電機）に焦点を当てます。

縦軸は「出願人スコア」、横軸は「出願人最高スコア」、円の大きさは「出願件数」を表しています。「出願人スコア」とは、分析対象の特許公報群に含まれるすべての特許に対して、個別特許の質（注目度）の高さを評価する「パテントスコア」（※2）を算出し、出願人ごとに合算したものです。ただし、件数が多いほど得点が高くなってしまう影響を緩和するため、平均値以上のパテントスコアが付与された特許のみを対象に集計しています。出願人スコアは、各出願人の特許競争力を質と量の両面から見た「総合的な強さ」を評価する指標ととらえることができます。

また「出願人最高スコア」とは、出願人ごとのパテントスコアの最高得点を示したもので、「個別特許の強さ」を評価する指標となりま す。各出願人が持つ「出願規模の大きさ」の指標となる「出願件数」と合わせ、3つの指標が1つの図表で的確に示されます。

シャープに圧倒的な強さ

出願人スコアマップを見ると、シャープは「出願人スコア」「出願人最高スコア」「出願件数」のどの指標を見ても1位となっており、圧倒的な強さを 誇っていることが分かります。このことからシャープは生産量だけでなく、技術面でも太陽電池産業全体をリードする企業であると言えます。シャープの太陽電池に関する特許出願は、従来からの結晶シリコン型はもちろんのこと、薄膜型に適用可能な技術に関する出願や、10年先の技術と言わ れる色素増感型をはじめとした有機型太陽電池に関する出願も非常に多く含まれています。 それぞれの分野で同様の評価をしても、シャープには強い競争力が見られました。

カネカの技術競争力に強み

出願人スコアがシャープに次いで高いのは三洋電機で、カネカ、京セラと続きます。三洋電機とカネカは、京セラよりも出願件数が少ないものの、出願人スコアは京セラを上回っています。特にカネカは出願件数が京セラの半分強程度にも関わらず、京セラよりも出願人スコアが高いことが特徴的です。この結果から、カネカの特許公報には質が高いものが多いことが分かります。

上記セルメーカー6社について、図2に「出願人スコア」「出願件数」「太陽電池生産量（2007年）」の順位をまとめました（太陽電池生産量データ は『PV News2008年3月号』による）。生産量で見るとシャープ、京セラ、三洋電機、三菱電機の結晶シリコン系メーカー4社が上位4大メーカーとなりますが、出願人スコアから見るとシャー プ、三洋電機、カネカ、京セラが上位4大メーカーになります。

このことからカネカは生産量や出願件数の規模に比べて、技術力では高い競争力を持っていることが示唆されています。

以上のように「出願人スコアマップ」を用いた企業分析を行うと、実際の事業規模や出願件数からは見えてこない新たな側面を見出すことができます。太陽電池市場全体だけではなく、「結晶シリコン型」「アモルファスシリコン型」「化合物型」「有機型」などの各分野に分けた分析や、さらに細かな技 術領域に分けた分析をすることで、より詳細な競合状況が見えてきます。こうした分析は、『ビズクランチャー』や『パテントアトラス』を活用することで、実現できます。自社及び競合他社の技術・特許出願動向を分析する上で、非常に効果的な手段となるでしょう。

　

※経営分析、競合調査、特許分析サービスに関する詳細は、
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