弊社はこのほど、負極に合金系材料を用いたリチウムイオン2次電池の技術領域における競合状況について調査した結果をまとめました。合金系のリチウムイオン電池は、電池の大容量化を目的として開発が進められています。負極材料にスズ、ケイ素などを用いることでリチウムとの合金化反応を起こし、グラファイトなどに比べて、数倍から数十倍の大容量化が可能になるといわれています。今回の調査では、個別特許の注目度を得点化する「パテントスコア」をベースとして、特許の質と量から総合的に見た評価を行いました。
その結果、「総合力ランキング(※)」では、1位ソニー、2位パナソニック、3位三井金属鉱業となりました。ソニーは出願件数、権利者最高スコア、権利者スコアの3指標ともトップとなっており、この分野において強みを持っていることが分かります。またパナソニックも出願件数、権利者最高スコア、権利者スコアの3指標とも2位となっており、ソニーに迫る競争力を持っています。3位の三井金属鉱業は、件数が55件と上位2社と比べて少ないものの、注目度の高い特許を多く保有しており、総合力で3位にランクインしました。
【リチウムイオン2次電池 合金系負極 特許総合力トップ5】
順位 | 企業名 | 総合力 (権利者スコア) |
開発規模 (特許件数) |
個別力 (権利者最高スコア) |
---|---|---|---|---|
ソニー | 706.2 pt | 218 | 32.2 pt | |
パナソニック | 427.7 pt | 189 | 31.3 pt | |
三井金属鉱業 | 296.2 pt | 55 | 27.4 pt | |
三洋電機 | 262.2 pt | 152 | 21.9 pt | |
キヤノン | 136.9 pt | 21 | 17.1 pt | |
上位3社はこれまでに合金系負極に関するプレスリリースを発表しています。ソニーが2005年、パナソニックが2007年、三井金属鉱業が2008年にそれぞれ発表しており、総合力の順位がプレスリリースの順と同じという興味深い結果となっています。合金系負極は90年代から提案されていますが、ソニーがいち早く商品化に結び付けており、他社に先駆けて開発してきた技術の蓄積が、今回の結果につながったものと考えられます。
本分析の詳細については、特許・技術調査レポート「リチウムイオン二次電池 合金系負極」にてご覧いただけます。
参入企業の技術力と成長性を取りまとめたレポートです。
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