弊社はこのほど、独自に分類した化学業界の企業を対象に、2016年の特許審査過程において他社特許への拒絶理由として引用された件数を企業別に集計した「化学業界 他社牽制力ランキング2016」をまとめました。この集計により、直近の技術開発において競合他社が権利化する上で、阻害要因となる先行技術を多数保有している先進的な企業が明らかになります。
集計の結果、2016年に最も引用された企業は、富士フイルム、次いで花王、三菱化学となりました。
【化学業界 他社牽制力ランキング2016 上位10社】
順位 | 企業名 | 引用された 特許数 |
---|---|---|
富士フイルム | 5,031 | |
花王 | 1,806 | |
三菱化学 | 1,383 | |
日東電工 | 1,366 | |
積水化学工業 | 1,322 | |
住友化学 | 1,235 | |
旭化成 | 1,194 | |
日立化成 | 1,098 | |
三井化学 | 940 | |
信越化学工業 | 873 | |
1位富士フイルムの最も引用された特許は、昨年に引き続き「無機結晶性配向膜」に関する特許(特許第5215158号)で、後発の特許40件に審査の過程で拒絶理由として引用されており、この40件はいずれも半導体エネルギー研究所の特許となっています。このほかには「薄膜トランジスタ」に関する特許(特許第5497417号)や、「反射防止性ハードコートフィルムを用いた偏光板」に関する特許(特許第4911474号)などが引用された件数の多い特許として挙げられます。
2016年に、富士フイルムの特許によって影響を受けた件数が最も多い企業はキヤノン(291件)、次いで大日本印刷(179件)、オリンパス(175件)と続いています。
2位花王の最も引用された特許は、「吸収性物品」(特許第5336138号)で、後発の特許5件に審査の過程で拒絶理由として引用されており、企業別にはP&Gが4件、日本製紙クレシアが1件となっています。このほかには「伸縮性複合シート」に関する特許(特許第5100359号)や、「清掃用シート」に関する特許(特許第4738311号)などが引用された件数の多い特許として挙げられます。
2016年に、花王の特許によって影響を受けた件数が最も多い企業はユニ・チャーム(109件)、次いでP&G(94件)、大王製紙(57件)となっています。
3位三菱化学の最も引用された特許は、昨年と同様「スタッカブル(積重ね可能)リチウムイオン電池からなるバッテリー装置」に関する特許(特願2000-179577)で、後発の特許11件に審査の過程で拒絶理由として引用されており、これらは全てLG CHEMとなっています。このほかには「バイオマス資源由来ポリエステル製フィルム」に関する特許(特許第5600861号)や、「有機薄膜太陽電池」に関する特許(特許第5382119号)などが引用された件数の多い特許として挙げられます。
2016年に、三菱化学の特許によって影響を受けた件数が最も多い企業はLG CHEM(51件)、次いで住友化学(37件)、コニカミノルタ(34件)と続いています。
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