弊社はこのほど、独自に分類した機械・造船業界の企業を対象に、2016年の特許審査過程において他社特許への拒絶理由として引用された件数を企業別に集計した「機械・造船業界 他社牽制力ランキング2016」をまとめました。この集計により、直近の技術開発において競合他社が権利化する上で、阻害要因となる先行技術を多数保有している先進的な企業が明らかになります。
集計の結果、2016年に最も引用された企業は、三菱重工業、次いでダイキン工業、IHIとなりました。
【機械・造船業界 他社牽制力ランキング2016 上位10社】
順位 | 企業名 | 引用された 特許数 |
---|---|---|
三菱重工業 | 2,362 | |
ダイキン工業 | 1,299 | |
IHI | 807 | |
クボタ | 780 | |
豊田自動織機 | 761 | |
村田機械 | 529 | |
川崎重工業 | 523 | |
コマツ | 498 | |
荏原 | 492 | |
ヤンマー | 467 | |
1位 三菱重工業の最も引用された特許は、「高輝度発光で長寿命の有機EL素子」(特許第3933591号)と「荷役作業の部品管理システム」(特許第1945069号)で、ともに後発の特許6件に対する拒絶理由として引用されています。特許第3933591号は山形大学教授の城戸淳二氏、ロームとの共同保有となっており、半導体エネルギー研究所の5件、LG CHEMの1件の拒絶理由として引用されています。また特許第1945069号は、豊田自動織機の1件、大都販売の5件に対する拒絶理由として引用されています。
2016年に、三菱重工業の特許によって影響を受けた件数が最も多い企業は、三菱日立パワーシステムズ(108件)、次いで三菱電機(86件)、東芝(76件)と続いています。
2位 ダイキン工業の最も引用された特許は、「ポリウレタン発泡体の製造」に関する特許(特願1991-301995)で、後発の特許8件の審査過程で拒絶理由として引用されており、企業別にみると、E.I.DU PONTの4件、Honeywell Internationalの2件、アキレスの1件、ARKEMAの1件となっています。このほか、「高疎水性エラストマー組成物」(特願2001-148132)や「蓄電式の空調機器」(特願1997-233843)などが引用された件数の多い特許として挙げられます。
2016年に、ダイキン工業の特許によって影響を受けた件数が最も多い企業は三菱電機(251件)、次いで、パナソニックIPマネジメント(91件)、富士通ゼネラル(38件)となっています。
3位 IHIの最も引用された特許は、「ターボチャージャー」(特許第5029546号)と「排ガス再循環システム」(特願2001-324869)であり、ともに後発の特許4件の審査において拒絶理由として引用されています。特許第5029546号はBORGWARNERの4件に、特願2001-324869は三菱重工業の3件と、福島製作所の1件に引用されています。
2016年に、IHIの特許によって影響を受けた件数が最も多い企業は三菱重工業(55件)で、東芝(28件)、トヨタ自動車(25件)と続いています。
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